2024年4月25日(木)

Wedge REPORT

2013年3月14日

 政権交代を印象づけるためか、今回の対策では、エコやグリーンといった言葉が目立たなくなった。しかし、再エネ発電用の蓄電システム、民生用燃料電池、次世代自動車向け充電インフラなど、エネルギー・環境関連で、大きな予算が計上されている。

 現状では経済性の低いこれらの事業を、エネルギー・環境対策と割り切るのではなく、そこに経済成長という目的を絡めるのであれば、過去の失敗を繰り返さないように、企業の国際競争力への長期的な影響という観点から可能な限り詳細なシナリオをもって欲しいと思う。そのためには、政策担当者がビジネスの現場に近づく必要があるのではないか。

 今回の補正予算では、研究開発とイノベーション推進にも、9000億円近くが計上されているが、そこでも、現場を理解した政策担当者が鍵となるはずだ。不確実性の高いイノベーションを実現するには、余剰資源(リスクマネー)を創出し、それを革新的アイデアへ結合することが必要となる。

 しかし、激しい国際競争にされる企業には、それが難しくなっている。そこで政府が登場する。それは理解できないわけではない。しかし、政府は、その高い信用力で余剰を創出することには長けているが、それを革新的アイデアへ適切に結合することには慣れていない。

 しかし、政府が経済成長のためのイノベーションを主体的に牽引する覚悟があるのなら、そこに踏み込まなければならない。政策担当者がビジネスの現場を理解しなければ、決して意図したわけではなくとも、「ばらまき」のレッテルを貼られることになりかねない。

◆WEDGE2013年3月号より

 

 

 

 

 

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