白い閃光と衝撃波を伴った世紀の天体ショーは動画サイトYoutubeを通して、世界中の人々がその目撃者となった。ソ連時代、秘密核施設が爆発し、チェルノブイリや福島と同クラスの放射能汚染をもたらしたロシア中部チェリャビンスクは今後、「隕石落下の街」として、新たな歴史の1ページを刻むことになるに違いない。
今月15日、チェリャビンスク州付近一帯に被害をもたらした隕石は、世界中の研究機関の調査により、どんな性質を持った物体で、どのような軌道を通り、地球にやってきたかがわかってきた。
人工衛星の解析結果から「隕石」ではなく、「彗星」説を取る専門家も現れている。そして、隕石の爆発前に高速で飛行する「謎の円盤状の物体」が衝突した様子を示す動画も存在する。
「アメリカが新兵器を試したのだ」
「100年に1度」とされる隕石は1908年にロシアのシベリアの上空で起き、数10キロメートルの周囲の木々をなぎ倒した「ツングースカ大爆発」と比較された。しかし、最も大きな違いは、今回はへんぴな地域での発生ではなかったことだ。
当初、住民は何が起こったかわからなかった。過激な発言で知られるロシア自民党、ジリノフスキー党首が直後に、冗談とも本気ともつかぬ口調で「アメリカが新兵器を試したのだ」と言ったが、似たような印象を持った人は決して少なくない。100万都市チェリャビンスクでは、ほとんどすべての人々が隕石の落下を体験していた。
隕石は、現地時間15日午前9時21分(日本時間同午後0時21分)ごろ、突然、チェリャビンスク上空の空に現れ、東から西へ降下していった。その間、35秒。3回の爆発を伴い、いくつかの破片に分かれて落下していったとロシアの専門家は指摘する。
旅客機とニアミスも
爆発を最も近くでみていたのは、この時間にチェリャビンスク州上空を飛行していたアクバルス航空機のパイロットと乗客だろう。
午前9時35分にチェリャビンスク空港に到着予定で、同機が着陸態勢に入っていたときに、隕石は機体前方の左側から右側へと斜めに横切っていった。