中国人留学生がロシアの攻撃で4人死んだとの情報が流れ、中国政府は「偽情報」だと打ち消しに走ったが、多数の留学生が戦火に巻き込まれるリスクに直面したことは間違いない。中国は愛国主義の拡大で国民は海外居民の安全に厳しい世論があり、中国当局もウクライナでの中国人の安全問題には神経質になっている。
高いウクライナの戦略的価値
中国はロシアを戦略パートナーと位置づけ、侵略前にプーチン大統領と習近平国家主席が「無制限」の協力をうたったが、東欧という地政学的にも重要な地域への楔となるウクライナとの関係も中国にとって高い価値を有していた。
仮にロシアとウクライナの仲介を中国が果たすことができれば外交的に大きな得点となり、新しい超大国として国際社会に大きな存在感を示すことになる。
中国もその機をうかがっているだろうが、現段階では火中の栗を拾うことになり、容易ではない。ウクライナの破壊を惜しみながら、国際社会で悪者になる一方のロシアにあまりにも近づきすぎないよう配慮もしなくてはならない。
ロシアに味方した中国を、欧州は厳しい目で見るだろう。ウクライナ情勢の悪化を受けて、今後中国は確実に「一帯一路」を含めた欧州戦略の練り直しが求められるはずだ。ロシアに与した代償の大きさがわかるのはこれからである。