World Energy Watch

2022年3月11日

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山本隆三 (やまもと・りゅうぞう)

常葉大学名誉教授

NPO法人国際環境経済研究所所長。住友商事地球環境部長などを経て現職。経済産業省産業構造審議会臨時委員などを歴任。著書に『電力不足が招く成長の限界』(エネルギーフォーラム社)など多数。

 筆者は企業勤務時代に、温室効果ガスを削減するプロジェクトをロシアの国営天然ガス企業、ガスプロムと共同で進めたことがある。打ち合わせのため、何度かモスクワ南西部にあるガスプロム本社を訪問したが、閉口したのは、セキュリティーの厳しさだった。

 車で訪問するのだが、トランクの中、荷物検査はもちろん、車体の下まで鏡を使って検査される。ガスプロムの建物は新しいのだが、様式は旧ソ連時代のスターリン様式を彷彿とさせるビルの上に尖った先端がある形をしている。冷戦時代の象徴となるスターリン様式だが、米国の映画では悪の帝国のビルとして似たビルが登場することがあった。今、ロシアのイメージは、冷戦時代に戻ったかもしれない。

ガスプロムの本社。ビルの上の尖った先端は旧ソ連時代のスターリン様式を彷彿とさせる(AP/アフロ)

 ロシアのウクライナ侵攻により、欧米諸国、日本は国際決済情報システムSWIFT(国際銀行間通信協会)からロシアの銀行を排除したが、ロシアに依存している化石燃料の輸入が停止することを恐れた欧州諸国に配慮し、ガスプロムバンクなどが排除対処から除外された。ロシアからの欧州向け化石燃料の輸出は依然として続いている。

 ロシアの2020年の輸出額3370億ドルの内、化石燃料は、4割以上を占める1420億ドルに達していたが、化石燃料価格が上昇していることから、ロシアの輸出額は急上昇している。

急騰する化石燃料価格と増えるロシアの収入

 米国がロシア産石油、石炭、液化天然ガス(LNG)の輸入禁止を決めた。石炭、LNGの取引は、両国間ではほとんどないが、石油については影響が少しある。

 米国のロシア産原油の輸入比率は2%にも満たないが(図-1)、原油輸入量の約3分の1ある石油製品の輸入ではロシアは約4分の1のシェアがあり、合わせると米国の石油輸入量の7%弱になる。ロシアの輸出に占める米国向け比率も同じレベルであることから、それほど大きな影響が双方にあるわけではないものの、市場心理には大きな影響があるようだ。原油価格は上昇し、来年末までに1バレル当たり185ドルあるいは200ドルになるとの予測を出す金融機関もある。

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