2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年3月5日

 アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)日本研究部長のオースリンが、2月7日付WSJ紙掲載の論説で、北朝鮮の核保有を中止させるための交渉が無意味なことも、対北朝鮮政策で中国が頼りにならないことも、過去の経験から分かっていることなので、今や、北朝鮮を核保有国とみなし、封じ込め政策を取るしかない、と述べています。

 すなわち、過去の経験に照らしてみれば、米国にあまり選択肢は残されていない。アメとムチの政策も、六カ国協議も直接対話も何の効果も無かった。中国に対する期待も裏切られ続けてきた。

 今となっては、北朝鮮を核保有国とみなして、他の核保有国に対するのと同様に、米国およびその同盟国に対する核使用は、戦争と北朝鮮の破滅を意味する、と宣言するしかない。

 米国は、北朝鮮非核化の交渉はやめて、北朝鮮が人権無視をやめることを条件として、外交的話し合いに応じる用意があることを宣言すべきである。

 それは、日本や韓国に大きな懸念を抱かせるであろうから、米政府は、北朝鮮を封じ込め、侵略には直ちに対処する用意があるということを表明しなければならない。習近平新指導部も、対米関係上、どこまで北朝鮮を支持することが許されるかを知らねばならない。

 ケリーとヘーゲルは、北朝鮮をはっきり脅威と認めるべきである。そうすれば、北朝鮮は、まだ核戦争に訴える力は持っていないのだから、今より穏健な政策を選ぶかもしれない、と論じています。

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 北朝鮮を核保有国とみなし、かつてのソ連に対するように潜在的な敵国として、封じ込め政策を実施すべきだという議論です。それが米国の核不拡散政策に及ぼす影響、なかんずくイランに対する影響などを考えると、かなり思い切った、危険な提言のようにも思えます。


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