2024年12月23日(月)

Wedge REPORT

2022年7月25日

JISの基準をもっとシンプルにすべき

 コンクリート主任技士・診断士で、各種コンサルティング、資格取得指導を行うJIC(大阪市北区)の森政伸社長も「今回の事件は許されるものではない」と話す。JIS認証制度にも精通する森氏は「第三者通報などで査察に入るのは、残コンの不法投棄や生コンの洗浄水をそのまま河川に流すという事案が多いと耳にする。生コンの出荷量の3%程度が『残コン』になるとみられている。一部の企業が努力して再利用していることは評価すべきだが、全てを再利用するのは難しいのではないか」と話す。

 JISの基準をもっとシンプルにすべきという指摘もある。JISには、生コンの製品認証の他に、製造されるプロセスについても規定がある。「現場では辻褄合わせの仕事になっているのではないか。JISと現場の実態の差を埋めていく作業が必要になる」(森氏)。その他、使用は90分以内という決まりについても、硬化を遅延する薬剤も開発されており、見直しが可能だという声もある。また、残コンの回収骨材の使用を義務付けることも必要になってくるだろう。

 このような改革を進めるべく、生コン会社が中心となって一般社団法人生コン・残コンソリューション技術研究会(RRCS)が2020年に設立され、情報発信など活動を活発化させている。一方で、経済産業省、国交省、そして業界団体などからは、「残コン」問題の解決に向けて、積極的な姿勢は見えてこないままだ。

 
 
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