2022年7月5日(火)

Wedge SPECIAL REPORT

2022年6月2日

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 都市鉱山(Eスクラップ)のリサイクルに注力する三菱マテリアル。「コミュニケーション」こそが会社の力を引き出す源泉という小野直樹社長に話を聞いた。
聞き手・編集部(大城慶吾、友森敏雄) 
写真・井上智幸
小野直樹(Naoki Ono)
三菱マテリアル執行役社長
1979年京都大学工学部卒業後、三菱鉱業セメント(現・三菱マテリアル)入社。 セメント事業カンパニープレジデント、常務取締役などを経て、19年執行役社長に就任。

リサイクルへと
逆転する価値

 パソコンなどに使用される基板には多くの貴金属やレアメタルが含まれている。「Eスクラップ」(金・銀・銅・パラジウムなどの有価金属が高い濃度で含まれる)と呼ばれる電子機器の廃基板を世界で最も多く(約20%)処理しているのが三菱マテリアルだ。

回収された「Eスクラップ」は宝の山 (MMC)

 「Eスクラップには、天然鉱石を濃縮した形で金銀銅などが含まれる。電子機器は世界中で使用されていて、現在、そのEスクラップを世界中から集めるべく、拠点づくりを進めている」

 携帯電話の普及と廃棄が進む中で「都市鉱山」という言葉が10年以上前から叫ばれるようになった。ここにきて、ESGの動きとあわせて、ますます注目される存在になっている。

 「銅の製錬技術として当社が長年培ってきた技術である『三菱連続製銅法』は、Eスクラップの処理にも非常に有効。また、環境への配慮が注目される世の中になりつつあり、天然鉱石100%の素材よりも、例えば天然鉱石60%、リサイクル原料40%という素材のほうが価値が高いと評価される社会になる可能性がある。鉱山から採掘し、金属素材を取り出して製品となる。そして、使用済みになったものを、回収して再生するという意味で資源循環の一翼を担うことができる。それは、天然の鉱石の使用量と同時に、採掘、輸送の際に発生する二酸化炭素(CO2)の排出も減らすことができる。

 Eスクラップの取引で進めているのが電子化だ。これまで商社などを間に挟む形で各地のスクラップ事業者とやりとりをしていたが、『MEX』と称するプラットフォームを開設し、サンプルを分析してその評価結果をすぐにレスポンスしたり、24時間体制でユーザーとコミュニケーションが取れるようにしたりした。これからもユーザー視点で利便性を高めていく。

 なお、今後は、銅そのものの使用量も大幅に増えることが予想されている。電気自動車(EV)に使用される銅は、ガソリン車の4倍にもなると言われている。一方で、平易に採掘できる鉱山が減少していることなどから、天然鉱石の採掘コストは高まっており、その意味でもリサイクルの重要性はより増しているといえる」

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