2022年12月4日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年7月21日

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 最近、バイデン政権から、トランプ前政権による対中制裁関税について、中国の一部製品に対する関税を引き下げるかもしれないという話が出ている。しかし、政権内で足並みはそろっていないし、そもそも2020年の大統領選挙でバイデンはトランプ関税を維持しないと言っていたので、この動きは遅すぎる。

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 トランプが脱退した環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への復帰(米国のTPP脱退を受けてできた環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)への参加)の気配もないし、英国との貿易協定交渉も進んでいない。カナダとの間では昨年、針葉樹材輸入への関税を2倍に増やしたような始末である。バイデン政権の通商政策は保護主義で、トランプ政権から方針転換できていないように見える。

 7月5日付けウォールストリート・ジャーナルの社説‘Biden’s Missing Trade Policy’は、「バイデンは貿易政策を持っていない。同盟国やライバルが新しい合意を結ぶ中、米は立場をなくしている」との社説を掲載、バイデンの貿易政策欠如を批判している。この社説は、バイデン大統領の通商政策またはその欠如を厳しく批判したもので、ポイントをついている良い社説である。

 対中トランプ関税は、米国の農業者、消費者、ビジネスに害を与えた。上記社説は、米国の関税と中国の対抗関税は2018年だけで約400億ドルの損害を米に与えたとする国際金融研究所の推計を紹介している。

 上記社説は、バイデン政権がCPTPPに参加すること、英国との貿易協定交渉を加速させることを主張している。いずれも良い主張である。

 米国のCPTPP参加が実現すれば、アジア太平洋地域の通商秩序がそれに応じて作られることになる。経済秩序の面での中国への対抗という面でも大きな意味を持つだろう。

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