2022年6月29日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年6月16日

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 5月25日付けフィナンシャル・タイムズ紙の社説‘US influence in Asia depends on economic engagement’が、アジアでの米国の影響力には経済関与が必要だ、バイデンのアジア訪問は前向きのアジェンダを出すのに苦労した、と述べている。

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 この社説の主張と観察の主要点は次の通りだ。

(1)バイデンの初のアジア歴訪は、軍事に比べ経済アジェンダが貧弱だった。インド太平洋経済枠組み(IPEF)では物足りない。アジアでの影響力を維持するためには、軍事と同じレベルの経済イニシャティブが必要だ。

(2)力不足のIPEFも米の他12カ国の参加を確保できたが、「米国提案の魅力というよりも、日本の努力によるところが大きかった」。

(3)理想は環太平洋経済連携協定(TPP)に復帰することだ。しかしバイデンは議会の反対があると決め込んでいる。英国のTPP加盟は米の復帰に有益な役割を果たすかもしれない。

(4)バイデンは先ず反貿易のナラティブを変える必要がある。

(5)米国はアジアとの関与につき外交・経済サイドを軍事コミットメントと同じレベルまで高める必要がある。

 バイデンのアジア政策、特に対中政策には貿易政策が欠如しているとの議論は、ここ最近、フィナンシャル・タイムズ紙が頻りに繰り返している。良いことだ。バイデン政権には良く咀嚼して欲しいものだ。

 貿易政策の良し悪しを議論する前に、バイデン政権には貿易政策がないように思える。貿易について思考停止しており、貿易課題に挑戦する意思もないようだ。何故そうなのか。党内左派や議会の反貿易を過大評価し、憶病になっているのか。あるいは大統領選挙の公約違反を恐れているのか。しかし、大統領選挙では先ず国内企業への投資をせねばならない旨、注意深く発言していたはずだ。

 あるいは政権内の貿易グループ、もっと言えば米通商代表部(USTR)と商務省ラインに知恵がないのか。あるいはバイデンの側にあって政策の司令塔になる最側近達が不十分なのか。あるいはタイミングを待っているのか。本当に理解し難い。

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