2022年12月8日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年6月8日

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 5月17日付の英フィナンシャル・タイムズ紙(FT)で、同紙コラムニストのエドワード・ルースが、バイデンの対中政策は軍事だけでは旨く行かない、米国の貿易・投資の増大により中国の影響力をバランスすることが効果的な政策になると述べている。

Sergio Lacueva / iStock / Getty Images Plus

 ルースの主張は、全くの正論だろう。バイデンの対中戦略が軍事偏重になっており、貿易・投資が欠如していることを批判し、それを「バイデンの対中政策のインバランス」、「対中政策の非対称性」と呼ぶ。

 「(米国に)アジア太平洋で真剣な経済イニシアティブをとろうという考えは全くない」、「インド太平洋経済枠組(IPEF)は、(貿易・投資政策の)代替にはならない」と述べ、「効果的な米国のインド太平洋戦略とは、パートナーに米中いずれとも取引をすることを認め、米国との貿易・投資を増大して中国との間でバランスをとることだ」とデカップリングの考えを批判する。全くその通りだ。

 訪日中のバイデン大統領は、5月23 日、IPEFの発足を正式に発表した。

(1)創設メンバーは、米日韓印の他、豪州、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、ニュージーランド、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの13カ国である。しかし台湾は入っていない。台湾は既に世界貿易機関(WTO)に正式加盟しており、入れるべきではなかったか。報道では、「アジアでは米国か中国かという選択を迫られることを嫌がる国が多い。このため米国は台湾をIPEFのメンバーに招くことを見送った」とあるが、詳細は分からない。しかるべき時点で半導体等の世界有数の生産者である台湾を入れることを考えるべきだ。

(2)IPEFの協議分野は、①貿易、②供給網、③インフラ・脱炭素、④税・反汚職の4つで構成される。分野ごとに参加国は変わる。一応「貿易」が含まれているといっても、米国の関心はデジタルにある。なお、報道を見ると、日本でも海外でも、IPEFは「不十分だ」、「実効性が問題だ」、「メリットがない」、「ないよりはましだ」といった低い評価が一般的だ。

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