
西ヨーロッパの広い地域で19日も厳しい熱波が続き、各地の最高気温の記録が塗り替えられている。普段は気候が穏やかなイギリスでも、観測史上初めて40度を超えた。
ドイツは今年の最高気温を更新。ポルトガルでは連日の猛暑で死者が増えている。
欧州大陸の各地で山火事が発生し、死者も出ている。国連の世界気象機関(WMO)は、事態は深刻さを増すと警告した。
人為的な気候変動の影響で、熱波は以前より頻繁かつ激しくなり、期間も長くなっている。
WMOのペッテリ・ターラス事務局長は、「ゆくゆくはこのような熱波が常態化し、さらに強烈で極端な事象が発生するだろう」と述べた。
イギリスで40度超え
イギリスでは、イングランド東部の広い範囲で気温が上昇し、リンカンシャー州コニングスビーで40.3度を観測。他の33カ所の観測地点でも、3年前に記録した同国最高の38.7度を上回った。
最初に40度を突破したのはロンドン・ヒースロー空港で、午後零時50分に40.2度を記録した。ノッティンガムシャーのグリングリー・オン・ザ・ヒル、ロンドンのセント・ジェイムズ公園、王立植物園キュー・ガーデン、ノーソルトなどでも午後に40度を超えた。
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スコットランドでも、南部チャーターホールで34.8度を観測(暫定値)。2003年に記録した過去最高の32.9度を上回り、新記録となった。
イギリスの熱波の影響
イギリスでは各地で火災が急増。消防当局が重大事態を宣言した。
ロンドン東部ウェニントンでは大火災が発生し、多数の住宅が壊滅的な被害を受けた。避難を余儀なくされた住民は、住宅8軒ほどと、もしかすると地元の教会も焼失したとBBCに説明。現場の消防士は「まったくの地獄だ」と述べた。
鉄道は、線路に過熱やゆがみがみられたり、空中のケーブルが故障したりしたため、一部の運行を休止した。
首都圏では住民が、バーベキューやたき火はせず、たばこの処理に注意するよう求められている。
ただ、イギリスでは暑さが和らぎ始めており、いくつかの地域では雨が降り出している。気温も20日には下がると見込まれている。
欧州各国でも深刻な影響
フランスでは、最高気温の記録更新には至っていないものの、18日には64の地域で各地の最高記録を突破した。
同国南西部では、過去30年以上で最大規模の山火事が発生している。ワイン産地のジロンド県では、12日以降で1万9300ヘクタール以上の土地が炎に包まれた。
避難を強いられた住民は約3万4000人に上っている。
ベルギーのリゾート地デ・ハーンでは、砂浜で火災が発生し、複数の車両に火が移った。現地紙ル・ソワールは、同国では猛暑の後、大雨と雷が予想されていると報じている。
ドイツは19日、今年これまでで最も暑い日となった。気象当局によると、西部の都市デュースブルクで午後4時に39.3度を記録した。
オランダは同日、南東部マーストリヒトで39.5度を観測。記録的な暑さとなった。
ポルトガルでは気温が大幅に下がった。ただ、熱波に関連した死者は、先週以降で1000人を超えている。
こうした異常気温の結果、欧州全域で山火事がたびたび発生するようになった。
スペインの中部と北西部も、山火事の深刻な被害を受けている。欧州連合(EU)の地球観測事業の一部であるコペルニクス・モニタリング・サービスによると、スペインで6~7月に山火事によって排出された炭素量は、同国で2003年以降の同時期に計測された中で最大だという。
ギリシャでは、アテネ近郊の山岳地帯ペンテリで山火事が発生し、強風であおられた。住宅に被害が出ており、地元当局は少なくとも4つの地域と病院に避難を呼びかけている。
イタリアの予報は、20~22日に気温が40~42度まで上がると警告している。同国ではすでに、いくつかの山火事が報告されており、トスカーナ州では18日夜に発生した火災が19日午後も続いた。
(英語記事 Records fall as extreme heat bakes Western Europe/Fires blaze after UK passes 40C for first time)