2024年11月22日(金)

world rice

2013年5月16日

自由な環境にいてこそ真の実力が発揮できる

 ここから、あるラディカルなアイデアが浮かんできました。「経営の環境(場所も含め)が変わったら、自分はどんなコメつくりができるのだろうか?」。広さだけなら、国内の別の場所に行けばありますが、新規に入るには農村の壁があります。また、国内で生産した場合、コメの売り先は政府登録業者に限られます。品種や玄米等級によって価格が決まる仕組みであり、売値すなわち売上は、生産量が確定したときに決まります(これはコメつくり経営に良いことであるか疑問です)。しかも、減反政策の真っただ中であり、本来の低コストでコメつくりを目指すこととは違う実態がありました。

 「自由につくり自由に売る環境にいてこそ、栽培や販売に工夫ができ、結果として強い経営が生き残る」。これがコメつくり競争力を高めるために必要な環境だと考えました。日本でこの環境が整うのは、長い年月がかかることが予測できました。コメを自由につくり自由に売れる場所に、自分が行ってコメつくり経営を行う。

 「競争力がない」と決め付けられている日本のコメつくりでも、競争力のある場所に行って生き残れたら、自分の考えが正しいことの証明にもなります。同時に学べることがたくさんあり、結果のいかんにかかわらず、学び取れたことを将来活かすことは可能であり、何より新しい挑戦に、ワクワクしました。これが加州でコメつくりをしようと思った理由です。

◆WEDGE2013年5月号より

 

 

 

 

 

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