4月27日付米Washington Post紙及び4月28日付英Financial Times紙は、それぞれ社説を掲げ、安倍政権の経済政策や防衛費増額に関しては評価しつつも、靖国問題や歴史認識については、近隣諸国を刺激することになる、と懸念を表明しています。
すなわち、Washington Post紙によれば、安倍総理はよくやっている。しかし、彼の侵略の定義に関する発言は、現在の全ての成功を危険にさらすものである。確かに、侵略の定義というものは決まってはいない。が、歴史には事実というものがある。日本が朝鮮、満州を占領し、中国本土に攻め込んだのは事実である。安倍総理には、憲法の見直しや防衛力の強化を行うもっともな理由はあるが、戦前の大日本帝国へのノスタルジーを抱いているように思われると、国内でも国外でも失敗する恐れがある、ということです。
Financial Times紙によれば、安倍総理が戦没者の霊を慰めるのは間違っていない。しかし、靖国は天皇崇拝の民族主義的教義と深くかかわっている場所であり、右派に対する彼の信頼を利用して、より非宗教的な施設に参拝するようにすべきである。彼の経済政策は成功しているが、それには国際社会の支持が必要である。彼の言動は、少なくとも余計なことであり、むしろ危険なことである、と述べています。
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来るべきものが来た、との感があります。
歴史問題となると、戦敗国は決定的に弱い立場にあります。戦勝国は、勝った国の過去の行為はすべて善、戦敗国の過去の行為はすべて悪という議論を決して捨てないからです。日本は、朝鮮、満州、中国本土を占領したかもしれませんが、アメリカがインディアンの居住地を奪い,メキシコ、スペイン、ハワイから土地を奪ったこともまた事実ですが、そんなことは敗者が言っても誰も相手にしません。「悔しかったら戦争に勝ってみろ」と言われるだけのことです。