2022年11月28日(月)

BBC News

2022年11月2日

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米裁判所は10月31日、米出版大手ペンギン・ランダムハウスと同業サイモン・アンド・シュスターの22億ドル(約3200億円)規模の合併計画を認めない判断を示した。

連邦地裁のフローレンス・パン判事は、この合併計画は出版業界の競争を「著しく」弱めるものだと指摘した。

合併案をめぐっては、米司法省が昨年11月に差し止めを求めて申し立てを行っていた。

ペンギン・ランダムハウスは2013年、英ペンギン・ブックスと米ランダムハウスという大手2社が合併して誕生した、世界最大の出版社。

パン判事は2ページの判決文の中で、「裁判所は、提案された合併によって、今後ベストセラーとなる見込みの書籍のアメリカでの出版権市場で、競争が大きく弱まる可能性があることを、アメリカ政府が示したと判断した」と説明した。

これに対し、ペンギン・ランダムハウスは不服申し立てを行う意向。「読者と作家にとって不幸な敗北だ」と述べた。

ペンギン・ランダムハウスはこれまで、ジョージ・オーウェルやレフ・トルストイ、ヴァージニア・ウルフ、最近ではダン・ブラウン氏といった著名作家の作品を手掛けてきた。

一方のサイモン・アンド・シュスターの出版物には、スティーヴン・キング氏のほか、ヒラリー・クリントン元国務長官の著書などがある。

今年8月に行われた裁判所の審理で米政府は、両社が合併すれば、ベストセラーの出版権市場の半分近くを独占することになると指摘した。

ペンギン・ランダムハウスの弁護人を務めたダニエル・ペトロチェッリ氏はこれに対し、2社は合併後も互いに競争し続けるため、読者や著者に「多大な利益」をもたらすと述べた。

しかし、ホラー作家のキング氏は裁判の中で、「それは夫婦で同じ家を競り落とすようなもので、ばかばかしい」と一蹴している。

米司法省のジョナサン・カンター次官補は声明で、「この合併は競争を弱め、作家の報酬を減らし、物語やアイデアの幅や深さ、多様性を失わせ、最終的には民主主義を貧弱にするものだ」と述べた。

アメリカのジョー・バイデン政権は、競争を損なう行為への規制を強化している。


ペンギン・ブックスは1935年、アレン・レインとその兄弟が共同で創立した。その特徴的なペンギンのロゴは、出版史でも特に名高い作品の書物に刻まれてきた。

1960年にはD・H・ローレンス作「チャタレイ夫人の恋人」を、1988年にはサルマン・ラシュディ氏の「悪魔の詩」を出版するなど、大きな論議を呼んだ作品にも携わっている。

2013年に米ランダムハウスと合併した際、欧州委員会は「大手競合が複数いる」とし、競争に関する懸念を強めるものではないとしていた。

ペンギン・ランダムハウスの株は現在、ランダムハウスの親会社である独ベルテルスマンが53%を、ペンギン・ブックスの親会社ピアソンが47%を保有している。

(英語記事 US court blocks Penguin merger with rival publisher

提供元:https://www.bbc.com/japanese/63467553

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