ただ、いえることは中国政府が北京の環境改善に並々ならぬ努力をしていることである。車の増加を抑えるために登録許可証に抽選制を導入し、車の価格以上のプレミアがついたくらいだ。また、中国の各地では、環境に対する抗議デモが多発している。例えば、昆明市や寧波市の石油化学工場の建設反対の抗議運動が連日の国内ニュースで騒がしい。ひと昔前なら人民政府は、一方的に抗議デモの解散を命じていた。ところが、最近ではインターネットによる情報公開も手伝って、無視することが出来なくなった。
習近平体制になってから、経済発展と環境のバランスがとれた「和諧社会」を目指すという目標に向けて、真剣に取り組み始めたように見える。贅沢宴会の禁止や賄賂役人の処分、安全食品対策。それに加えて、ガソリン車から電気自動車への奨励策や、都市近郊にある化学工場の移転など、環境対策が習近平政治の目玉になっている。
中国は共産党一党独裁の国家であると言われるが、良いところはいったん政策が決定すると一気に実行されるところである。
地方のレアメタル工場を視察しても、当局の監視体制は強化されていると実感させられる。欧州や日本のような環境大国になるには時間がかかるだろうが、社会の価値観や環境変化と共に中国が今までとは違った社会を目指しているように感じる。
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