2024年4月24日(水)

ヒットメーカーの舞台裏

2013年7月6日

 短期間で完売となった初期受注の顧客は、タブレット製品に強い関心をもつ層が中心になったそうだが、UEIはキーボード入力が不得手な高齢者や、パソコンを学習する小学生など幅広い層に活用してもらえるとにらんでいる。実際、同社には医療や教育関係などを含め、100件ほどの問い合わせや引き合いが寄せられており、開発チームの「想像を超えた」用途も少なくないという。

 修士課程や海外留学と、英語の勉強を進めて教師になるはずだった辻だが、翻訳などのアルバイト先だった「面白いことをしている会社」にそのまま入った。もの心ついた頃から家庭用ゲーム機に親しみ、多くのソフトや機器に触れて来たことが、結局「今の仕事のベース」になった。

 ただし、「経験は浅く、まだまだ学ぶことは山積み」と、enchantMOONのヒットにも、自らのポジションをしっかり見据えている。(敬称略)

(写真:井上智幸)

■メイキング オブ ヒットメーカー 辻 秀美(つじ・ひでみ)さん
プランナー

1984年生まれ
東京都八王子市に生まれる。幼少の頃からテレビゲームをこよなく愛し、名の知れたゲーム端末はほとんどもっていた。かと言ってインドア派ということではなく、中学・高校ではソフトボール部に所属し、ピッチャーとして活躍した一面ももつ。また、小学校低学年の頃から英語に興味があり、英会話を学んでいた。
2003年(18歳)
英語教師になることを夢見て、早稲田大学教育学部英語英文学科へ進学。中学・高校の英語の教員免許を取得した。在学中は英文学、とりわけ「詩」の研究をしている教授の講義に感銘を受け、英文学の勉強に没頭する。学部の勉強だけでは飽き足らず、同大学大学院へ進み、ロマン派の詩を中心に研究した。
2008年(23歳)
大学院1年時の2月にアルバイトを探していたところ、ユビキタスエンターテインメントに出会う。社内向けに、自社に関係のある海外情報を翻訳する仕事を担当した。1年間のイギリス留学時も休みの時期にフランスやアメリカで開催された展示会でプレゼンをするなど、アルバイトながら貴重な戦力として活躍。
2010年(25歳)
大学院を卒業。教師への道も考えたが、「自分自身この会社で成長したい」との思いから、ユビキタスエンターテインメントに入社。以来、製品の企画立案を中心に、キャラクター制作なども手掛ける。

[特集] ヒットメーカーたちの物語

◆WEDGE2013年7月号より

 

 

 

 

 

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