G7議長国の日本、問われる覚悟と実行力
日本は今年1月から1年間、G7議長国を務める。国内の関心は、5月に広島で開催されるサミットの成否に集まっており、ゼレンスキー大統領もオンラインで招かれるという。しかし、G7議長国としての日本の役割はサミット開催にとどまるものでない。日本は1年間にわたってウクライナ支援と、ロシアによるウクライナ侵攻を原因とするグローバルなダメージの修復に取り組む必要がある。
とりわけ、ウクライナからの穀物輸出がロシアによって阻害されていることから生じたグローバル食糧危機や、エネルギー不足および価格高騰への対処などが急務となる。こうした危機は豊かな諸国と貧しい諸国との分断を進めかねないばかりか、ロシアが穀物やエネルギーを「武器化」して発展途上諸国の窮状に付け込む余地を与えかねない。
現にロシアメディアは、米欧諸国からエネルギーを「奪われ」、米欧による対ロシア制裁の「犠牲になった」発展途上諸国に対し、ロシアが救いの手を差し伸べているとのイメージを盛んに喧伝している。このように板挟みとなったグローバルサウス(南半球を中心とする途上国)をいかに包摂できるか、日本のイニシアチブが問われている。
日本がG7議長国である期間中にロシアの侵略が終わりを迎える可能性は、残念ながら大きくはないだろう。そうである以上、日本の果たし得る役割は、「戦争が続く限りウクライナを支援する」というG7の原則(22年6月のG7サミット)を率先して守り続けることに他ならない。
それは支援諸国をまとめ上げ、グローバルサウスに目配りをしながら、おそらくこれまで以上の苦境に直面するウクライナを支え続けることを意味する。その併走努力を地道に継続することを通じてこそ、有事に際しての日本の危機意識と対処能力もまた、磨かれていくのであろう。