2024年4月25日(木)

インドから見た世界のリアル

2023年2月21日

 ロシアがウクライナ侵攻を開始したのは2022年の2月24日、約1年前だ。それ以来、世界は大きく変わった。それは、日本もインドも同じである。

 1年前、インドが直面したのは、古い友好国であるロシアと、新しい友好国である西側諸国との間で板挟みになったことだ。インドが選択したのは、独自路線をいく、というものだった。

インドはアージュン戦車をはじめ国産兵器の重要性を認識し始めている(AP/アフロ)

 特にインドが困ったのが、今後、インドの武器調達をどうしたらいいか、という問題だった。ロシアのウクライナ侵攻は、現代でも、国家と国家は戦争をする可能性があり、戦争では、大量の武器を必要とすることだった。

 そこで本稿は、インドが、武器の調達を通して、どのようにして独自路線へと進もうとしているか、概観する。その上で、インドを日本側に近づけていくには、何をしたらいいのか、提案するものである。

ロシアへの義理と不信のジレンマ

 22年3月、国連安全保障理事会(安保理)で、ロシアによるウクライナ侵略への非難決議が出た際、インドは棄権した。インドはロシアを非難しないことを決めたのである。

一方で、4月、ブチャでの虐殺が明るみになった際、インドは国連安保理で、この行為を非難した。9月、モディ首相はプーチン大統領に「今は戦争の時代ではない」と述べ、戦争を止めるよう促している。総じていえば、インドは、ロシアが行ったウクライナ侵攻を、良いことだとは思っていないが、ロシアを非難しないという態度を示したのである。

 なぜロシアを非難しないのか、それは過去70年、ロシアは一貫してインドの味方だったからだ。例えば第3次印パ戦争において、米国は、インドを威嚇するために空母を派遣した。インドでは、ソ連が潜水艦を派遣して、米空母の背後に浮上し、米空母を威嚇してくれた、という話が信じられている。

 また、インド軍が保有する武器を見ると、約半分がロシア製だ。特に正面装備(戦闘の最前線に立つ戦車、戦闘艦艇、戦闘機をさす)にロシア製が多い。

 武器は、高度で繊細なのに乱暴な環境で使用する。だから専属の整備部隊がいて、常に修理して使うものだ。だから修理部品が必要だ。

 また、正面装備の場合、弾薬を使う。弾薬の供給が必要だ。ロシア製の武器を装備しているということは、修理部品と弾薬の供給で、ロシアに依存しているということである。


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