2024年4月16日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年7月12日

 全てのネットワークがサイバーセキュリティに関する我々の高い基準を満たすことができるよう、NATOのネットワークと各国のネットワークのリンクについても注視している。サイバー防衛の有効性は、結局、チェーンにおいて最も弱い部分のレベルにしか達することができない。我々は、共同で取り組むことで、チェーンを強化している。

 サイバー攻撃はグローバルな課題であり、NATOは、グローバルな対応に貢献し得る。NATOのパートナーシップのネットワークは、世界の三分の一の国を含んでいる。我々は、共同で取り組むことで、全ての利害関係者間の協力を促進する、真に安全なサイバーコミュニティを作ることができる。

 NATO同盟国は、一致結束することで皆がより安全になる、という原則にしたがって行動してきた。我々は、テロ、海賊、大量破壊兵器拡散といった、課題に対応するため、力を結集してきた。NATOは、ベルリンの壁のある時代に、加盟国を守った。サイバー攻撃に対するファイアーウォールの時代においても加盟国を守ることができるよう準備しておかなければならない、と述べています。

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 この論説は、6月4~5日にブリュッセルで開かれた、NATO国防相理事会を前に書かれたものです。

 3月には、NATOサイバー研究所の委託により、サイバー戦争についてのタリン文書が作成され、サイバー攻撃が武力行使に該当し得ること、それに対して自衛権を行使し得ること、サイバー戦争にも戦時国際法の文民保護等の原則が適用されること、などが盛り込まれています。

 NATOが、サイバーセキュリティの問題に本格的に取り組み始めたということは、日米同盟にとっても他山の石となるでしょう。また、サイバーセキュリティへの取り組みは、集団的自衛権行使容認において、重要な課題となります。

 東アジアにおいては、日米同盟と韓国との協力が停滞していますが、韓国がサイバー攻撃の被害を受けている現状において、NATOの例にしたがったサイバーセキュリティ防衛協力を一つの突破口として試みる手もあるでしょう。もちろん、韓国を納得させるためには、米国が主導する必要はあるでしょう。

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