2024年11月22日(金)

Wedge OPINION

2023年4月19日

 日本核武装論は、過去においてとくに米国内で折に触れ、出ては消え、消えては出てくる夢想だ。日本でも、故中川昭一衆院議員のような有力政治家によって提起されることがある。

 非核3原則とは正反対、相入れない政策だが、核武装をめぐる議論を行うことと実際に踏み切るかは別問題であり、北朝鮮をけん制するためにも、活発な議論は行うべきだという指摘もあろう。

 日本の軍事大国化をもっとも警戒する中国が、核を放棄するよう北朝鮮へ働きかけを強化する可能性も期待できるかもしれない。試してみたくなるショック療法ではあるが、これによって北朝鮮が脅威を感じて、逆に核開発を促進する逆効果をもたらす恐れも指摘されていることを忘れるべきではない。

譲歩引き出す〝鼻薬〟も必要か

 金正恩はそもそも、国際社会の制止を無視してなぜ、国連安全保障理事会決議違反のミサイル発射を繰り返すのだろう。

 核を背景に米国と国交正常化を果たして国際的な尊厳を勝ち取り、独裁体制を維持していくことが究極の目的だ。そのためには多少の犠牲を払っても核開発を維持し続けるだろう。

 かたくなな金正恩の姿勢を和らげるのは、圧力一辺倒ではなく、鼻薬つまり一定の譲歩によって北朝鮮を軟化させるべきとの見方も米国内で少なくない。制裁の一部緩和などがそれで、〝アメと鞭〟の使い分け、運用の共同訓練などで日韓のパワーを見せつけ、北朝鮮の姿勢に応じて譲歩をしていく「行動対行動」の方針をとるべきという考え方だ。

 制裁の見直しには国際的にも、国内からもさまざまな議論があろう。しかし、それによって北朝鮮に少しでも蛮行を控えさせ、拉致被害の帰還にも応じさせることができれば、安いものだろう。

 検討すべき課題かもしれない。 

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