2023年7月12日付の英エコノミスト誌が、リトアニアの首都ビリニュスで行われた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が、プーチンにとって痛手となる成果をあげたと指摘し、特に、ウクライナに対する長期的な支援に関する計画を提示し得たことを評価する社説を掲げている。
NATO首脳会議に向かう途次、ゼレンスキーはウクライナに迅速な加盟の明確な約束が与えられそうにないことを「馬鹿げている」と呼んだ。案の定、声明には、条件と加盟国の同意が言及され、日程は避けられた。
しかし、実際には、NATO首脳会議は、今後に向けて更に多くのことを約束することで、プーチンにいくつかの敗北を課した。
プーチンの第一の敗北はNATOの拡大である。トルコはスウェーデンの加盟への反対を取り下げ、同国がフィンランドに続いて加盟することを可能にした。これによって、バルト諸国と北極周辺の防衛は強化された。
また、ゼレンスキーは彼が思っていた以上のものを得た。ウクライナには、戦争が終わった暁には、加速化された加盟プロセスが与えられることになった。ウクライナには面倒な「加盟行動計画(Membership Action Plan)」を免除することにNATOは合意した。
また、NATO会議では、ウクライナ支援の具体的で永続的な計画が示された。ウクライナに対する防衛装備、インテリジェンス、訓練などの供与という主要7カ国(G7)諸国の力強い誓約という形で実現した。G7諸国は、これが「長期にわたる」コミットメントであることを約束し、「現在、ウクライナを守ることができ、将来、ロシアによる侵略を抑止することができるような持続可能な軍事力」を提供することに向けて、各国がウクライナの安全の保証を個別的に練り上げることになる。この誓約に参加するG7以外の国が多ければ多い程良い。
これを強調する一つの方法は、1979年に米国が台湾関係法で行ったように、約束を法制化することである。台湾関係法は、大統領が「十分な自衛能力の維持を可能ならしめるに必要な数量の防御的な器材および役務」を台湾に供与すると定めている。米国は同じことをウクライナにするべきである。
* * *
ビリニュスのNATO首脳会議は、ウクライナのNATO加盟について精一杯、前向きの文言をその声明に書き込んだと認められる。「ウクライナの将来はNATOにある」と書き、ウクライナがNATOの加盟国になるであろうとの2008年のブカレスト首脳会議のコミットメントを再確認し、加盟に向けて「加盟行動計画」のプロセスを辿る必要性を免除することを表明した。