2024年7月16日(火)

World Energy Watch

2013年9月4日

ワタミの電気は必ず買わされる

 二酸化炭素削減のために再生可能エネルギーによる発電事業に参入したというのであれば、消費者に負担がかからない今年度の料金適用の案件に仕立てればよい。儲けるために事業に乗り出したのであれば、素直にそういうほうがきれいだ。あまり理屈の通らないようなことは言わないほうがよい。

 固定価格買い取り制度の問題は、消費者は事業者を選択できないことだ。ワタミが嫌いでワタミの居酒屋に行かない人も、北海道に住んでいれば否応なくワタミの太陽光発電からの電気を受け取らざるを得ない。当然その買い取り価格も負担させられる。いま、電力自由化が政治の場で議論されている。大口需要家向けには自由化されている電力小売りを家庭向けまで全て自由化し、消費者が電力会社を選択できるようにしようという改革だ。

 例えば、再生可能エネルギーが好きな消費者は、太陽光、風力などだけで発電を行う電力会社から電気を購入できるようになる。しかし、固定価格買い取り制度は自由化とは相いれない制度だ。自由化されても、消費者は固定価格買い取り制度に基づき20年間は電気を買わざるを得ない。自由化されてもワタミを断る選択肢はないのだ。

 企業が高い収益をあげる事業に取り組むことは当たり前だ。しかし、「君子財を愛す。これを取るに道あり」との言葉がある。自民党国会議員のワタミ創業者には民主党時代に作られた事業者に有利な制度を利用することの是非を考えて欲しかった。ワタミにはシナジーがないエネルギー分野ではなく、本業の分野で消費者に役立つこと、環境を改善する活動を進めて欲しい。それは、数多くあるはずだ。


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