主人のテオ氏は約20年前からろうけつ染めの制作を始め、今ではヨーロッパでの個展も開催するまでになっている。8月・9月も、フランスの各地を回っての展覧会だったようで最近帰国したばかり。片づけられていた作業机に、制作途中の作品を広げてくれた。
ろうけつ染めの手法をご存知の方もいるだろうから詳しく書かないが、デッサンに沿って溶かしたろうを乗せていき、様々な色に染め上げていく。デッサンまで終えた作品を見て、シンプルなデザインだなと思っていたら、後から完成した作品も見せてもらい、思わず唸った。私は地味派だったはずなのに、見入ってしまい溜息まで漏れた。ブルキナファソで、こんな色彩とデザインを生み出す人がいたのか。
ものづくり巡りはもう1軒続き、かごバックのお店へ。コンパオレ氏は、すでに他のものづくり仲間と日本での展示販売を行ったことがあるので、東京で見た方もいるかもしれない。まだ限られた規模でしか日本での展開はしていないようだが、彼自身がデザインと販売を担い、かごを編む職人は50名ほど抱えている大きな会社にまで成長している。素材をガーナから輸入し、デザインと制作はブルキナファソ。ここでも多様な色が存在していて、きちんと考えられた組み合わせなのだなと感じさせる。
以前に訪問した陶芸家のアトリエ兼販売店舗でも、シックな深い青や微妙な色が混ざり合った濃い緑など、独特の色をまとった器が静かに並んでいた。車いすに乗るその作家は、ハンデをもろともせず、ガーナで陶芸を学び、西アフリカやヨーロッパでの工芸市などに作品を出している。
こちらが探し出して、扉を開けてみる
いずれの場所も、知らなければ辿り着けない。いずれの場所も、たまたま前を通りかかるだけでは、特に足を止めるような外観ではない。にもかかわらず、扉の奥であれやこれやが展開されていることを知らないなんてもったいないと思わせる場所ばかりである。