第5回アフリカ開発会議(TICAD)が6月に横浜で行われ、「日本はアフリカの開発に尽力する」という高い理想が掲げられた。その上で必要なのは、日本企業とアフリカとの間での実取引を増やすことだ。
私は毎年のように紛争鉱物(コンフリクトミネラル)の調査でコンゴ民主共和国(DRC)やルワンダなどを回っている。コンフリクトミネラルとは、武装勢力の資金源になっていたり、環境破壊につながっていたりする鉱物資源のことだ。
コンフリクトミネラル問題が複雑化したのは、米国の金融規制法の影響である。米国議会は紛争の早期解決と人道上の問題から2010年7月、金融規制改革法第1502条(ドッド・フランク法)にコンフリクトミネラルの使用に関する情報開示を義務付けた。米国の国内法であるが、法令の順守という趣旨でコンフリクトミネラルの原産地を証明しなくてはならなくなったのだ。
コンフリクトミネラルは3Tと呼ばれているタンタル、タングステン、錫(Tin)のことである。タンタルは携帯電話やパソコン、TVの部品に、タングステンは切削工具や液晶のバックライトに、錫は電子機器用のハンダや集積回路に使用されるために日本の電子機器産業や自動車産業は影響を受けているのだ。
アフリカ大陸は資源の最後の宝庫と言っても過言ではない。欧米諸国には過去の植民地時代からのしがらみがあって問題は複雑化する一方である。米SEC(証券取引委員会)はコンフリクトミネラルを取り扱う可能性のある5500以上の企業に取引のトレーサビリティーを求めているが、簡単に証明できるものではないだろう。
レアメタルをアフリカから 直接開発輸入する
日本人はそもそも「触らぬ神に祟りなし」と考える傾向がある。アフリカの内乱問題などは凡そ他人事であり普段は余り興味がないが、米国に言われるとガバナンス問題だからと何事も「火種」にならないように、過剰安全をモットーとする。