厚生労働省の推計では、非正規雇用者のうち「正社員になりたい者」の割合は20.6%にとどまった。33歳~44歳に限っても24.8%である。この数字を見る限り、非正規雇用の増加は働き方が多様化した結果と見ることも可能だろう。社員に比べて労働時間が明確なパートやアルバイトを好む人が少なからずいて、こうした人たちの働く場が増えたことで、雇用者数全体が増えているとも言えるのだ。
働き方が多様化している中では、一律の労働規制が働く現場からかい離しているようにも見える。例えば大学の研究室にはアルバイトなどの非正規雇用で働くアシスタントが多くいる。必要不可欠な人材だが予算もなく正社員化する考えは大学にはない。ところが現在の労働契約法では、5年を超えると無期契約にしなければならないことになった。ではどうするか。5年満期で「雇い止め」ということになる。従業員を守ろうとする法律が逆の結果を生む現象が起きているのだ。
ライフスタイルが多様化し、働き方も様々になっている。そんな中で、社会的に認められない劣悪な条件などは許されないとしても、契約で雇用ルールや解雇の条件を決めておくことは意味があるのではないか。
雇用の非正規化がどんどん進むことに問題がないと言うつもりはない。同じ仕事をしながら給与が大きく違う点など改善されるべきだろう。同じ仕事をしている場合は同じ賃金が支払われるのが本来の姿だ。また、非正規だと社会保険加入を回避できる現行の制度も改めた方がいい。欧州諸国のように週2日働く人ならば5日働く人の5分の2の社会保障費を負担するという仕組みに変えることが重要だろう。欧米で定着した「同一労働同一賃金」が日本でも当たり前になれば、働き方を個別の契約で決めるのが当然の世界に変わっていくだろう。
■修正履歴
3ページ2段落目「ところが現在の労働基準法では、5年を超えると正社員にしなければならないことになった。」は、「ところが現在の労働契約法では、5年を超えると無期契約にしなければならないことになった。」の間違いでした。お詫びして訂正致します。該当箇所は修正済みです。 (2013/12/26 13:40 編集部)
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