2024年8月24日(土)

BBC News

2024年8月24日

ニック・ビーク(キーウ)、ポール・カービー(ロンドン) BBCニュース

インドのナレンドラ・モディ首相は23日、ロシアによる侵攻が続くウクライナを訪問し、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談した。モディ氏は平和実現のため、自分自身が役割を果たす用意があると、ゼレンスキー氏に伝えたという。

モディ首相はゼレンスキー氏に、対話と外交努力を通じてのみ戦闘を止められると強調したという。

「双方が一緒に腰を据えて、この危機から抜け出す方法を探さなくてはならない」と、モディ氏は会談後に語った。

モディ氏はさらに、7月にモスクワを訪れた際、問題は戦場では解決できないとロシアのウラジーミル・プーチン大統領に伝えたことを説明した。

モディ氏とゼレンスキー氏は、ウクライナ軍のロシア領内への侵入についても話し合ったが、その具体的な内容は明らかになっていない。

さらにモディ氏は、インドはこの戦争において中立の立場を取ったことは一度もないと主張。首相は、「(戦争の)初日から、我々は平和を支持する立場だった」とし、自分はインド独立運動の指導者マハトマ・ガンジー氏の土地から来たのだと強調した。モディ氏はこれより先に、キーウ市内にあるガンジー像を訪れていた。

両首脳は共同声明で、国防と貿易を軸にした両国関係の構築を誓った。1992年に国交を樹立して以来、インド首相のウクライナ訪問は初めてという。

ロシアが侵攻を続けるウクライナでは7月8日首都キーウ最大の小児病院などが空爆され、40人以上が死亡した。モディ首相はそれと同じ日にモスクワを訪れ、プーチン大統領と抱擁を交わしたため、ゼレンスキー氏らに批判されていた。

ゼレンスキー氏は当時、モディ氏がプーチン氏と抱擁を交わす姿を見て「非常に失望した」と語っていた。

それだけにモディ首相による今回のキーウ訪問では、両首脳の表情が注目されていた。キーウのマリインスキー大統領宮の入り口前でモディ氏を待ち受けたゼレンスキー氏は、顔をしかめていたが、日差しがまぶしかった可能性もある。

子供の犠牲追悼展示

モディ氏は、ウクライナの隣国ポーランドから列車でキーウに入った。

ウクライナ軍は今月初めにロシア西部クルスク州に侵入し、1250平方メートル以上のロシア領土を占領した。同軍によると、この越境攻撃後に外国首脳がウクライナを訪れるのは、モディ氏が最初だという。

モディ氏は23日、まずウクライナの歴史博物館に案内された。ここには、2022年2月に始まったロシアの全面侵攻で殺害されたという、ウクライナ人の子供570人全員を追悼する展示があり、モディ氏はそれを見ることになった。

両首脳はしゃがんで、仮設の慰霊台にぬいぐるみを置いた。モディ氏は後に、子供たちが戦争で「殉教」していることは、非常に悲しいと語った。

モディ氏がゼレンスキー氏の肩に手をまわす場面もあった。この様子を捉えた画像が首相のソーシャルメディア・アカウントに投稿され、子供を亡くした家族に思いを寄せているとのコメントが添えられた。

ただし、インドはロシアによるウクライナ全面侵攻をこれまで一度も非難していない。むしろインドは事実上、ロシアの戦時経済を手助けしている。ロシア産原油は西側諸国の制裁対象になっているが、インドは先月、ロシア産原油の輸入国として中国を抜き、世界一になった。

インドは6月にスイスで開催されたウクライナ主導の「平和サミット」に参加した(ロシアは招待されなかった)。ウクライナは同国の領土保全を支持する共同声明に署名するよう促したが、インドは応じなかった。

それでも両首脳は23日の会談を「歴史的」とたたえ、共同声明で「領土の一体性や国家主権など、国際法の原則維持のため協力し続ける用意があることを繰り返した」と表明。「これに関して、より密接な二国間協議が望ましいと合意した」とも声明で明記した。

(英語記事 India ready to help find peace, Modi tells Ukraine

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c2kjpjyy2pvo


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