2024年8月27日(火)

BBC News

2024年8月27日

ロシアは26日、ウクライナに対し、現在の戦争で最大規模となる空爆を実施した。ウクライナ空軍のトップが述べた。多数の死傷者が出たとしている。

ウクライナのデニス・シュミハル首相は、同国の州の半数以上の15州ほどがドローン(無人機)や巡航ミサイル、超音速ミサイルなどで攻撃され、「負傷者と死者が出ている」と、メッセージアプリ「テレグラム」に投稿した。

当局などによると、少なくとも7人が殺され、数十人がけがを負ったという。

電力インフラが攻撃され、広範囲で停電が発生。全国で空襲警報が発令され、避難が指示された。

ロシアは、ウクライナのエネルギーインフラへの攻撃を開始し、すべての目標に命中させたと発表した。ロシアは長期的な戦術の一つとして、それらのインフラを狙っている。

ウクライナ空軍のミコラ・オレシュチュク司令官はテレグラムで、ロシアが夜から26日朝にかけてミサイル127発とドローン109機を発射したと発表した。また、ウクライナはそのうちミサイル102発とドローン99機を撃墜したとした。

オレシュチュク氏は今回の空襲を「最も大規模な空からの攻撃」だと表現した。これまでで最大の攻撃は、昨年12月に158発のミサイルとドローンがウクライナに向けて発射されたものとされていた。

東部の都市クリヴィー・リフでは、民間のインフラビルがミサイル攻撃を受け、女性1人が死亡、5人が行方不明になったとみられている。同市の軍政トップ、オレクサンドル・ヴィルクル氏がテレグラムに投稿した。

一方、ポーランドは「物体」が自国領に侵入したと発表。同国の軍報道官は「ドローンの可能性が高い。飛行の軌跡と速度から、ミサイルではないことは間違いない」とロイター通信に話した。ポーランドは北大西洋条約機構(NATO)の加盟国。

ロイター通信によると、NATOのファラ・ダクララ報道官は、ウクライナに対する攻撃を非難。ロシアによるNATO空域の侵犯は「無責任で潜在的に危険」だと述べた。

ロシアは今回の攻撃でエネルギーインフラを主な標的にしたが、ウクライナの別の重要資源である「士気」にも打撃を加えようとしたとみられる。

ウクライナ軍はこのところ、ロシア西部クルスク州への侵攻で成功を収めており、国民は高揚している。そうしたなか、ロシアはこの日の攻撃で、ウクライナの一般国民や政治家、西側の国々に、この戦争で優位に立っているのはあくまでロシアだと示そうとしたとみられる。

死者が出たと当局が発表した攻撃には、以下のものが含まれる。

・ドニプロペトロウシク州では、69歳と47歳の男性2人が別々の攻撃で死亡した。

・ザポリッジャ州では、自宅が直撃された男性が死亡した。

・ルツク市では、「インフラ施設」が攻撃され1人が死亡した。市内のほとんどの地域で水道が止まった。

・ハルキウ州イジュームでは、ミサイル攻撃で男性1人が死亡した。

・ジトーミル州では、住宅やインフラ施設がミサイルの直撃を受け、女性1人が死亡した。

今回の攻撃で、ウクライナのインフラは深刻な被害を受けた。首都キーウを含む多くの都市で停電が報告され、水の供給が途絶えた。

機能していた発電所の一つで、キーウ北部にある水力発電所も、この日の攻撃で標的とされた。当局が被害を調査している。

ロシアは、2022年2月に本格侵攻を開始した直後から、ウクライナのエネルギーインフラを標的にしてきた。ここ数カ月、送電網への攻撃に再び力を入れており、ウクライナ各地では頻繁に停電が発生している。

ゼレンスキー氏が兵器使用について要望

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は26日、イギリス、アメリカ、フランスなど西側の支援国に対し、ウクライナが各国の武器を使ってロシアの奥深くまで攻撃できるよう、それぞれの国の規則を変更するよう求めた。

ウクライナは西側諸国から、各国の兵器を使ってロシア国内の標的を攻撃することを認められている。だが、長距離兵器は対象外とされている。

ゼレンスキー氏はまた、欧州諸国の空軍がウクライナの防空と協力すれば、「人命を守るためにもっと多くのことができる」と述べた。

ウクライナは26日、ロシアの首都モスクワの北東にある都市ヤロスラヴリの製油所の攻撃を試みた。死傷者や被害は報告されていない。

ロシア国防省は、ウクライナ国境から約900キロメートルのロシア・サラトフ州の上空でドローン9機を撃墜したと発表した。

(英語記事 Seven killed in 'most massive' Russian air attack, Ukraine says

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/clyld8e00r0o


新着記事

»もっと見る