2024年12月22日(日)

新幹線を支える匠たち

2024年7月28日

 東海道新幹線が終点の駅に到着し、折り返して次の目的地に向けて出発するまでに行われることがある。車内の清掃である。その間、わずか10分。この短い時間に座席を転換し、背もたれカバーの汚れを見つけ、車内のゴミを捨て、トイレや洗面所もきれいにする。

写真左から秋山さゆりさん、佐久間紀子さん、青木優駿さん、高橋健さん。全員がチーフスタッフとして活躍する。東海道新幹線車内の快適な空間は、彼らがつくっている(写真:中村 治 )

 だが、それだけではない。折り返し運行せず、車両基地に回送される列車はさらに入念な清掃が行われる。東京・品川区にある大井車両基地。ここに運ばれた列車は車内だけでなく、車両の先頭部分をはじめ、駅の折り返し時間内では行き届かない場所を隅々まで磨き上げている。

トイレタンクに専用のパイプを取り付け、汚物を抜き取る

 この清掃業務を担うのがJR東海のグループ会社「新幹線メンテナンス東海」である。同社では、車両の清掃業務を「整備」・「ドレスアップ」、清掃業務に従事するスタッフを「ドレッサー」と呼ぶ。

 なぜか。その理由について同社企画部総務課係長の馬場このみさんが説明する。

 「結婚式に臨む花嫁をイメージしてください。参列者が注目する花嫁の美しさは、着付けや身繕いをするドレッサーにかかっています。その花嫁を新幹線に置き換えれば、移動するための車両から快適な空間へとドレスアップする仕事がドレッサーなのです」

 スタッフがこの仕事の価値を再認識し、誇りを持って働いてもらいたいという考えから、業務やスタッフの呼び方を変えたのだという。


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