2024年8月28日(水)

BBC News

2024年8月28日

マイク・ウェンドリング、BBCニュース

アメリカで2021年1月6日、2020年大統領選でのジョー・バイデン氏の勝利を認定する作業を妨害するためにドナルド・トランプ前大統領の支持者たちが連邦議会議事堂を襲撃した事件で、最初に議事堂に侵入した暴徒に27日、禁錮4年5カ月が言い渡された。

首都ワシントンの連邦地裁で開かれた裁判で、ティモシー・ケリー連邦地裁判事はマイケル・スパークス被告(47)に対し、内乱や治安紊乱(びんらん)行為など複数の罪で禁錮4年5カ月と罰金2000ドル(約29万円)を言い渡した。

前回の大統領選をめぐっては、トランプ前大統領から選挙結果が盗まれたとする誤った話が支持者の間で広まった。スパークス被告はこの日、この話を今でも信じていると、ケリー判事に述べた。

「私は、自分たちは暴政の中にいると、今日まで信じているアメリカ市民だ」とスパークス被告が述べたと、米メディアは報じた。

「あの日発生したことが誰の役にも立たなかったことを残念に思っている」と、被告は法廷で述べた。

「自分たちの国がこのようなありさまになっていることを残念に思っている」

スパークス被告に対する公務執行妨害罪の一つは、議会襲撃事件の暴徒への法律の適用を制限する連邦最高裁の判断を受けて取り下げられていた。

しかし、その他の罪状について、ケリー判事は、被告が自分の行動がもたらす影響を完全に理解していなかったとして、ガイドラインが示唆する(2年未満)よりも厳しい量刑を言い渡した。

ケリー判事はスパークス被告に対し、「あの日に起こったことの重大性、そして、率直に言って、あなたがやったことの深刻さを、あなたは理解していないと私は考える」と述べた。

2021年1月6日午後2時過ぎ、防護服を着たスパークス被告は割られた窓から議事堂内に侵入した。議事堂近くでは直前まで、トランプ前大統領が支持者らに向けて演説していた。

議会警察の警官は裁判で、スパークス被告が建物内に入るのを目撃したが、銃を手に取って同被告に発砲することはしなかったと証言した。

当時の様子を捉えた映像には、同被告が議会警察の警官1人を追いかけて階段を上る集団に加わり、「これが俺たちのアメリカだ!」と叫ぶ様子が映っていた。被告はそれから約10分後に建物を離れた。

被告が逮捕されたのは、襲撃事件から数週間後だった。

ケンタッキー州セシリアの自宅からワシントンに移動する前、スパークス被告は「自分たちは(選挙結果を)明確にするための内戦を求めている」、「奴らを議会から引きずり出す時だ。これは暴政だ」といった多数のメッセージをオンライン上に投稿していた。

さらに、「イエスの名において、トランプはあと4年間あなた方の大統領であり続けるだろう。これに返信する必要はない。とにかく、たくさんの大きな出来事に備えてほしい。停電などに備えてラジオを持っておくように。すべての人を愛している」(太文字は原文では大文字強調)とも投稿した。

最初に議事堂に侵入したのはスパークス被告だったにもかかわらず、被告の弁護団は裁判で、被告は襲撃の首謀者ではなく、この出来事に巻き込まれたのだと主張。被告を1年間の自宅軟禁とするよう求めていた。

一方で検察側は禁錮4年9カ月を求めていた。

「スパークス被告はあの日、暴徒を抑えようとする警官隊に対抗するために、防護服を含む準備と計画を駆使して(暴徒を)たきつけたと言えるかもしれない」と、検察側は判決前にメモに残していた。

当局が議会襲撃に関与した人物の逮捕・起訴を進める中、襲撃をめぐる捜査が続けられている。

26日にはユタ州の男性が、重罪の法執行妨害罪と、さまざまな軽犯罪で逮捕・起訴された。

ハル・レイ・ハドルストン被告(66)は警察と対峙し、旗ざおを使って警官隊を押し戻したとされる。

議会襲撃をめぐっては、これまでに1500人近くが起訴されている。今月初めに米司法省が公表した最新データによると、罪を認めたのは900人近くに上り、180人以上が有罪判決を受けている。

トランプ前大統領はこれらの被告が「人質」や「政治犯」として扱われているとし、暴徒の一部または全員に恩赦を与えると約束している。ただ、誰を放免とするのかや、その基準については詳細を明らかにしていない。

(英語記事 First Jan 6 rioter to enter Capitol building sentenced to prison

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c7v50rd1qvmo


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