2024年9月2日(月)

BBC News

2024年9月2日

パリ・パラリンピックは競技4日目の1日、日本勢のメダルラッシュとなった。今大会はこれまで、メダルを手にした日本選手は男子のみだったが、この日は射撃、ボッチャ、バドミントンで女子選手がメダルを獲得。男子も陸上とバドミントンでメダルを手にした。

射撃で水田光夏が日本勢パラ初メダル

射撃の混合エアライフル伏射(運動機能障害SH2)では、水田光夏が銅メダルを獲得した。この競技で日本勢がメダルを取ったのは初めて。

2大会連続出場の水田は、予選上位8人による決勝進出。10メートル前方の的に正確な射撃を続け、3位に入った。

金メダルはフランスのタンギュイ・デラフォレスト、銀メダルはブラジルのアレシャンドレ・アウグスト・ガウガニが勝ち取った。

パリ・パラリンピック公式サイトによると、水田は中学2年生のときに手足の神経がまひし、筋力が低下する難病「シャルコー・マリー・トゥース病」を発症。車いす生活となり、17歳で射撃を始めた。競技に取り組むきっかけとなった東京大会は予選敗退だった。

ボッチャ初出場の遠藤裕美が銅メダル

ボッチャ女子個人(脳性まひBC1)では、パラリンピック初出場の遠藤裕美が銅メダルを獲得した。

3位決定戦はバミューダ諸島のユシャエ・アンドラデと対戦。遠藤は第2エンドで3点を奪うなど7-0で圧倒した。

ボッチャ個人は今大会から男女別になった。日本女子選手が個人戦でメダルを獲得したのは、この日の遠藤が初めて。

NHKによると、遠藤は生まれた時から脳性まひの障害がある。24歳のとき、福島県郡山市のチームで本格的にボッチャを始めたという。

里見紗李奈・山崎悠麻ペアが銀メダル

バドミントン女子ダブルス(車いす)では、東京大会で金メダルを勝ち取った里見紗李奈・山崎悠麻ペアが決勝に臨んだ。

相手は東京大会の決勝と同じ、中国の劉禹彤・尹夢璐ペア。里見・山崎ペアは第1セットを17-21で奪われ、第2セットも接戦の末に19-21で落とし、ストレートで敗れた。

それでも2大会連続のメダルとなる銀メダルを獲得した。銅メダルはタイのスジラット・プッカムとアムノウイ・ウェッウィタンのペアが手にした。

試合後のインタビューで里見は、「単複金を目指して3年間やり続けていたのでやっぱり悔しい。でも東京(大会)後、すごく差がついてしまっていた相手ではあったので、これだけ相手をはらはらさせるような試合ができたのはすごく久々だった」、「悔しいけど(中略)納得のいく試合ができたのではないかと思います」と話した。

山崎は、「私もやっぱり金メダル取りたかったなという気持ちはあります。ただ、たくさんの人に応援してもらって(中略)そういったなかで銀メダルを取れたのはよかったと思います」と話した。

2人が所属するNTTグループのウェブサイトによると、里見は中学の部活でバドミントンをし、高校3年の時に交通事故で車いす生活になった。自宅近くのパラバドミントンチームで活動を開始すると、すぐに頭角を現した。

山崎は小学2年でバドミントンを始めた。高校1年の時に事故で車いす生活となり競技から離れたが、国体でパラバドミントンを見て一念発起。男児2人を育てながら競技に打ち込んできた。

梶原大暉・村山浩ペアが2大会連続の銅

バドミントン男子ダブルス(車いす)の3位決定戦は、日本勢同士の対戦となった。東京大会で銅メダルを獲得した梶原大暉・村山浩ペアが、松本卓巳・長島理ペアを逆転で破り、2大会連続の銅メダルを勝ち取った。

第1ゲームは接戦の末、21-19で松本・長嶋ペアが先取した。しかし梶原・村山ペアは、第2ゲームを21-12で奪って勢いに乗り、第3ゲームも21-15で押し切って3位を決めた。

試合後のインタビューで梶原は、「銅メダルを取れたということでほっとしている気持ちが大きいんですけど、昨日の準決勝がすごく悔しかったので、今日は絶対勝って後悔なく終わろうと村山さんと話していたので、そこが達成できたのはよかったかなと思います」と話した。

村山は、「2人で金メダルを取ろうとやってきたんですけど、昨日残念ながらそれがかなわなくなってしまった。(この日は)日本人対決ということでちょっと複雑な思いはあったのですが、そこは引かない気持ちで、銅メダルをもって帰ろうと腹をくくってできたのが結果につながったのかなと思います」と述べた。

梶原は東京大会のシングルスで金メダルを獲得しており、今大会で2連覇を目指している。NHKによると、梶原は13歳の時に自転車で交通事故に遭って右足のひざから下を失い、事故後にパラバドミントンを知って打ち込むようになった。

村山は34歳で免疫系の難病を発症し、腰から下がほとんど動かせなくなった。発症後に家族とバドミントンを楽しんだのをきっかけに、パラバドミントンに取り組んできたという。

この種目の金メダルは中国の屈子墨・麦建朋ペアが、銀メダルは韓国のユ・スヨンとチョン・ジェグンのペアが、それぞれ獲得した

陸上100メートルで初出場の川上秀太が銅

陸上男子100メートル(視覚障害T13)では、初出場の川上秀太が銅メダルを獲得した。

決勝で川上は、スタート直後に抜け出した2選手を懸命に追う展開となった。中盤から左隣のレーンのオーストラリア選手と激しく競り合い、横並びでフィニッシュ。ともに10秒80の同タイムだったが、川上が1000分の5秒早くゴールラインを越えたと判定され、3位に入った。

金メダルはアルジェリアのスカンデルジャミル・アスマニが、パラリンピック記録の10秒42のタイムで勝ち取った。アスマニは東京大会のこの種目で準優勝だった。銀メダルは東京大会で優勝したノルウェーのサルムアゲセ・カスハファリが手にした。

川上はレース後のインタビューで、「なんとかしっかりメダルを取ることができました。ただタイムとしても(今年5月の世界パラ陸上選手権での)神戸のほうが断然いいですし、正直満足はしていないので、4年後のロサンゼルスではしっかり金を取れるようにここからトレーニングしていきたいなとより感じました」と話した。

パリ・パラリンピック公式サイトによると、川上は小学3年の時に交通事故で視神経を損傷した。視覚障害があってもできるスポーツとして陸上競技を始めたという。

(英語関連記事 Paris Paralympics 2024 medal results

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c0mn2wgjp9do


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