ウクライナ北東部ハルキウ市で1日、ロシアによる空爆があり、少なくとも41人が負傷した。市当局が発表した。
ハルキウ州のオレフ・シニエフボフ知事は、負傷者には子供5人が含まれると述べ、ロシアが市内の「民間施設を故意に狙った」と非難した。
市民が日常生活で利用するスーパーマーケットやスポーツ施設などが被害を受けたという。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、「ロシアはまたしてもハルキウにテロを行い、民間施設と市そのものを空爆した」と述べた。
その上で、西側諸国に「ウクライナの自衛に必要なものすべてを提供」するよう繰り返し求めた。
ハルキウ州のシニエフボフ知事によると、空爆は少なくとも10回あり、巡航ミサイルを使ったものもあったという。
また、がれきの下に閉じ込められている人もいるかもしれず、救助活動が続けられているという。
BBCヴェリファイ(検証チーム)は、ソーシャルメディアに投稿された動画の中から、ハルキウ市中心部の北東側にあるアカデミカ・パウロワ通り沿いへの空爆を1件、さらに約5キロ南にある「パレス・オブ・スポーツ」の建物への空爆を1件、それぞれ特定した。
それらの動画ではともに、ミサイルの衝突と爆発の瞬間が記録されている。
ハルキウでは8月30日にも空爆があり、屋外の遊び場にいた14歳の女の子を含む少なくとも7人が死亡している。
ウクライナは8月31日に、ロシア領内にドローン(無人機)攻撃を仕掛け、エネルギー施設2カ所で火災が発生している。
ロシア当局からは、この攻撃による死傷者は報告されていない。
ロシア国防省によると、ウクライナのドローン158機以上が、首都モスクワを含む15地域を攻撃した。
ロシア軍は、ドローンを撃墜・破壊したとしている。
しかしこの攻撃により、モスクワにある製油所の「技術室」で火災が発生したと、同市のセルゲイ・ソビャーニン市長は述べた。少なくとも11機のドローンが首都やその周辺を狙っていたという。
首都から120キロほど離れたトヴェリ州でも、コナコヴォ発電所の近くで大きな爆発音が聞こえた。
ロシアのメディアは、発電所で火災があったと報じた。
同州のイーゴリ・リュデニャ知事は、コナコフスキー地区で起きた攻撃による火災は鎮火されたと述べたが、攻撃された施設の詳細は述べなかった。
モスクワ州の関係者は、同州のカシラ発電所にもドローンによる攻撃が仕掛けられたが、火災や損壊、犠牲者などは発生しなかったとしている。
BBCヴェリファイは、ソーシャルメディアに投稿された、この3カ所での爆発を映した動画を分析・特定した。映像では爆発の後、コナコヴォ発電所とモスクワの製油所で火災が発生したように見える。
ウクライナはこれらの攻撃があったとされることについてコメントしていない。
しかし、ウクライナ軍はここ数カ月、ロシア国内への長距離攻撃を強化しており、週に数回、戦略目標に向けて同時に数十機のドローンを発射している。
BBCニュースは、ロシア国内での数百回に及ぶ長距離攻撃の実行を、西側が技術と資金で支援していると聞いている。
戦線に近い地域では
このほかウクライナでは、北東部スーミ州で穀物を運んでいた車列がロシアの空爆に襲われ、23歳のトラック運転手が死亡した。
検察当局によると、この攻撃で4人が負傷、トラック1台が炎上したほか、約20台のトラックが損害を受けた。
ウクライナ空軍はまた、ロシアが使用した11機のドローンのうち8機を破壊したと述べ、南東部ミコライウ州でも穀物や農業施設が標的となったと付け加えた。
スーミは、ウクライナがここ1カ月近く軍事侵攻を続けているロシアのクルスク地方に隣接している。
侵攻はここ数日、進展が鈍化しているが、ウクライナは先週、100カ所の村落を含む1294平方キロメートルの領土を制圧したと主張した。また、600人近いロシア兵が捕虜になったと発表した。
一方のロシア軍は、ウクライナ東部ドネツク地方の重要な町で急速な前進を続けている。ロシアはここ数カ月、この地域に地上攻撃を集中させている。
そのうちの一つ、ポクロフスクには重要な鉄道駅があるほか、いくつかの重要な道路が交差する場所に位置しているため、ウクライナ軍の兵站(へいたん)拠点として重要な役割を果たしている。
ウクライナのオレクサンドル・シルスキー司令官は、ロシアの主な攻撃地域の状況を「困難」としながらも、必要なすべての決定は「滞りなく行われている」と付け加えた。