2024年10月6日(日)

BBC News

2024年9月7日

ドナルド・トランプ前米大統領が不倫の口止め料支払いについて事業記録を改ざんしたとされる事件をめぐり、罪状34件で有罪となった刑事裁判において、ニューヨーク州地裁の裁判長は6日、量刑言い渡しの時期を、11月5日に投票が行われる大統領選後の11月26日に延期すると発表した。

ホアン・マーシャン裁判長は、量刑言い渡しを大統領選後に延期したことについて、「本件が現在置かれている独特な時期」などを考慮したと説明した。

量刑言い渡しの期日は当初、9月18日に決まっていた。しかし、トランプ候補の弁護団はさまざまな主張を展開し、言い渡しを先延ばしさせようとしてきた。

ニューヨーク州の陪審団は今年5月、重罪34件について有罪評決を言い渡した。大統領経験者が刑事被告人として有罪になるのは、アメリカ史上初めて。

マーシャン判事は量刑言い渡しの延期について、「陪審員が出した評決に焦点を当てた量刑言い渡しの審理」が必要だと説明。「(陪審の)評決は、近く行われる大統領選の重大性に薄められない形で尊重され、取り扱われなくてはならない」と強調した。

判事はさらに、「被告人が候補者となっている来たる大統領選挙に審理が影響される、もしくは審理が選挙に影響を及ぼそうとしているという見た目を、それがたとえ事実に基づかない不当なものでも、避けるため」に、量刑言い渡しの延期は必要だと説明。

「裁判所は公平で偏りのない、非政治的な機関だ」とも、判事は述べた。

判事はトランプ被告に最長で禁錮4年を言い渡す可能性もあるが、執行猶予をつけたり、罰金刑にする可能性もある。

この裁判でトランプ被告は、元ポルノスター、ストーミー・ダニエルズ氏とのかつての不倫関係をめぐり、2016年大統領選の投票日を目前に口止め料を支払い、その支払いを隠ぺいするために事業記録を改ざんしたと起訴され、有罪になった。

ダニエルズ氏は、トランプ被告と性的関係をもったことを法廷で認め、口止め料として2016年大統領選の直前に13万ドルを受け取ったと証言した。

検察側は、この支払いを法務費用として粉飾する仕組みを承認したことで、トランプ被告が公職選挙法に違反したと主張した。

5月の有罪評決を受け、当初の量刑言い渡し期日は7月に設定された。しかし、7月には別の事件で連邦最高裁が、「大統領の公務」について一定の刑事免責を認める判断を示したため、弁護団は延期を求めていた。

マーシャン判事は、検察と弁護団がそれぞれ、連邦最高裁判決が本件に与える影響について主張を用意できるよう、延期を認めていた。最高裁判決の影響に関する審理は11月12日に予定されている。

判事はすでに、弁護団が主張する延期理由の一部を「この法廷が取り上げるに値しない(中略)裏付けのない不平不満」として退けている。ただし、当事者の状況や日程の重複などといったさまざまな理由で公判期日が延期になるのは、特に異例ではないとも判事は説明している。

「本件独自の事実や状況を踏まえ、この被告人が他の被告人と異なる扱いを受けるべき理由は何もない」とマーシャン判事は述べ、裁判所が「特定の政党や、特定の候補者」を支持するかのように見える決定をするなどという見解を「いっさい排除」するために、今回の決定をしたと説明した。

トランプ候補は、一切の不法行為を否定している。量刑言い渡し延期の決定後にはFOXニュースに対して、この裁判は「おしまいにするべきだ」と述べた。

自分のソーシャルメディア「トルース・ソーシャル」では、あらためて無罪を主張し、この裁判は「魔女狩り」で「政治的攻撃」だという従来の主張を繰り返した。

「この国の歴史上最も重大な選挙に向けて準備をする中で、この裁判は中止するべきだ」と、トランプ候補は書いた。

トランプ候補を起訴したマンハッタン地検のアルヴィン・ブラッグ検事の報道担当は、「裁判所が定めた新しい期日での量刑言い渡しに向けて、自分たちの準備はできている」とコメントした。

11月の大統領選でトランプ候補が勝利した場合、自分が起訴されている連邦法違反の事件については大統領権限で自らに恩赦を与えることができるようになる。ただし、このニューヨーク州法違反の事件や、ジョージア州法違反の事件については、大統領は恩赦権限を持たない。

(英語記事 Trump's criminal sentencing delayed until after election

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cd739nqq2nno


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