2024年9月7日(土)

BBC News

2024年9月7日

イスラエル占領下のヨルダン川西岸地区で6日、抗議行動に参加していたアメリカとトルコ国籍の26歳女性が撃たれて死亡した。現場では、イスラエル人による入植行動の拡大に対する抗議行動が行われていた。

アメリカとトルコの二重国籍を持つアイシェヌル・エズギ・エイギさんは、ナブルスに近いベイタ町で、イスラエル人入植地の拡大に抗議していた。

トルコ報道によると、エイギさんはトルコ・アンタルヤ生まれ。

現地報道によると、イスラエル軍がエイギさんに向けて発砲した。

エイギさんはナブルス市内のラフィディア病院に搬送された後、死亡が確認されたという。病院のフアド・ナファア院長は、20代半ばのアメリカ人女性が「頭部を撃たれて」死亡したと明らかにした。

同じ抗議行動の参加者はBBCに対して、抗議は親パレスチナ団体「国際連帯運動」によるもので、エイギさんが参加するのは初めてだったと話した。

イスラエル国防軍(IDF)は声明で「ベイタ地区に隣接する場所でイスラエル治安部隊が行動し、自分たちに投石するなど脅威をもたらした暴力的行動の中心的人物に向かって、部隊は発砲して対応した」とコメント。

「当該地区での発砲の結果、外国人が死亡したという報告をIDFは検討している。女性が撃たれた事態の詳細と状況は精査中」だとIDFは述べている。

アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は、「悲劇的な損失」だと述べた。

米ホワイトハウスは、エイギさんが死亡したのは誰の責任か特定しないまま、イスラエルに事実関係の調査を求めた。

国務省のマシュー・ミラー報道官はこれに先立ち、アメリカ政府は「(エイギさんが)亡くなった状況について急ぎ情報を集めている」と述べていた。

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、イスラエル軍の行動を「野蛮」だと非難。同国外務省は、エイギさんが「ナブルス市内でイスラエル占領軍の兵に殺された」とコメントした。

エイギさんへの発砲現場で投石はなかったと抗議参加者

エイギさんと同様に抗議に参加していたイスラエル人のヨナタン・ポラックさんはAFP通信に対して、「2発の発砲が相次いで聞こえて、続けてもう1発聞こえた」と話した。

「木の横で彼女が倒れているのを見つけた。頭から血が出ていた」とポラック氏は言い、出血を止めようとして血がついたままなのだという両手をAFPに示した。

「脈をとろうとしたら、とても弱かった。救急車を呼んだ。そこから彼女を村の医療施設に避難させて、そこで医者が救急車に乗り込んで病院へ向かった。病院で蘇生しようとしたけれども、できなかった」

「これが注目されているのは、彼女がアメリカ市民だからだ」とも、ポラックさんは述べた。

BBC番組「ニューズアワー」は、ポラックさんにIDFのコメントについて質問。「(IDFに)投石するなど脅威をもたらした暴力的行動の中心的人物に向かって、部隊は発砲して対応した」というIDFの主張に対して、ポラックさんは、衝突はあったものの、兵士たちが「脅威にさらされていたことなど、まったくない」と話した。

さらに、エイギさんが撃たれたのは「別の場所での別の出来事」で、彼女がいた場所で投石行動はなかったと説明した。

イスラエル軍は同日、ヨルダン川西岸地区のジェニンと避難民キャンプで9日間にわたり続けた作戦行動を終えて、撤収した。

パレスチナ自治政府によると、この作戦行動によって少なくとも36人が殺害され、うち21人はジェニン県出身だった。死亡したほとんどは武装勢力に参加していたとされるものの、自治政府保健省は、中には子供も含まれるとしている。

イスラエルは過去50年の間に、ヨルダン川西岸と東エルサレムに入植地を相次いで建設。今では70万人以上のユダヤ系住民がそこに暮らしている。

国連安全保障理事会やイギリス政府などは、こうした入植地は国際法上違法だと位置付けているものの、イスラエル政府はこの判断を受け入れていない。

(英語記事 US-Turkish protester killed in West Bank as Israeli forces opened fire

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cn9lwg5lzvzo


新着記事

»もっと見る