2024年10月6日(日)

BBC News

2024年9月17日

ナタリー・シャーマン、BBCニュース

米オンライン通販大手アマゾンは、リモートワークとオフィス勤務を組み合わせたいわゆる「ハイブリット勤務」を廃止すると発表した。これにより、従業員は週5日、オフィスに通勤する従来の形態に戻ることになる。

勤務形態の変更は、同社のアンディー・ジャシー社長が従業員へのメモで明らかにした。来年1月に実施される。

ジャシー社長は、この移行は従業員が「発明し、協力し、互いに十分なつながりを持つことができるようにする」のに役立つと信じていると述べた。

ジャシー氏は以前からリモートワークに懐疑的なことで知られている。アマゾンの従業員はこれまで、週2日の在宅勤務が認められていた。

アマゾンは現在、全世界で150万人以上のフルタイムおよびパートタイムの従業員を雇用している。オフィス復帰を推進する動きは、数十万人の管理職も含め、社内で緊張の原因となっている。

米シアトルにある本社の従業員は昨年、新型コロナウイルスのパンデミック時に導入されたフルリモートワーク手当が厳格化されたことに抗議した。

アマゾンはその後、この抗議行動の中心人物を解雇。不当な報復措置だとの声が上がり、労働当局がこの紛争を取り上げることとなった。

ジャシー氏は16日に発信したメッセージの中で、巨大テクノロジー企業に成長する一方で新興企業の強さを保つことを自負してきたアマゾンが、柔軟な働き方や官僚的な層の多さによって、企業文化が希薄になっていることを懸念していると述べた。

一方で、従業員が不必要な規則について苦情を述べられるよう、「官僚主義メールボックス」を設置したと話した。また、より多くの従業員を監督できるよう、管理職に再編成を求めていると述べた。

アマゾンによると、これらの変更は人員整理につながる可能性があり、チームレベルで通達されるという。

同社は、週5日のオフィス勤務を復活させることに加え、アメリカ本社も含め、「以前そうされていた場所での指定制のデスク配置」を復活させるとしている。

ただし、パンデミック以前と同様、子どもの看病や緊急事態が発生した場合など、通常とは異なる状況下では、引き続き在宅勤務は可能だという。

しかしジャシー氏は、「酌量すべき事情のない限り、従業員がオフィスにいることを私たちは期待している」と付け加えた。

リモートワークはパンデミック時にピークを迎えた。多くの企業は2022年にスタッフを呼び戻し始めたが、完全に戻ったわけではない。

経済学者のホセ・マリア・バレロ氏とニコラス・ブルーム氏、スティーヴン・J・デイヴィス氏が毎月行っている調査によると、今年の夏の時点で、アメリカのフルタイム従業員の約12%が完全にリモートワークをしている。さらに27%が、ハイブリッド勤務をしていると回答した。

米JPモルガンのジェイミー・ダイモン氏のような銀行トップらは、以前からリモートワークに批判的で、フルタイムのオフィス勤務を要求する可能性が高い人物として注目されてきた。

こうした姿勢は他の業界にも広がっており、流通大手UPSやコンピュータ大手デルは今年に入り、従業員をフルタイムでオフィスに呼び戻した。

アマゾンのジャシー社長はメモの中で、同社がハイブリッド勤務に移行した経験から、対面で働くことの「利点について確信を深めた」と述べている。

しかし、米スタンフォード大学教授のブルーム氏は、アマゾンの発表について、勤務形態におけるより広い移行の兆しだとは思わないと指摘。調査データでは、労働者のオフィス滞在時間はこの1年以上、かなり安定していると述べた。

「注目企業が在宅勤務を取りやめる一方で、在宅勤務を拡大している企業もある。メディアに取り上げられないだけだ」と、ブルーム氏は語った。

(英語記事 Amazon ends working from home for office staff

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c8xee0292epo


新着記事

»もっと見る