2024年12月29日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年9月17日

 2024年8月28日付の英フィナンシャル・タイムズ紙で、エドワード・ルース同紙コラムニストが、ハリスはインタビューを嫌っているが、未決定層を掴むためには多くの討論やインタビューがプラスになると述べている。

民主党大統領候補のハリス氏はインタビューが苦手なのか?(AP/アフロ)

 ハリスがインタビューを避けてきたことは問題だ。ハリスの反対者達は、彼女がインタビューで失敗するのを恐れているからだと考えている。

 彼女は副大統領として幾つかの場面で回答に失敗した。解決策は厳しい質問を積むことだ。

 何故、彼女はこれほど消極的なのか。理由は2つある。第一は、多くの民主党員がメディアは相対的重要性を失い、密かに選挙の接戦を期待していると確信していることだ。記者達は波乱やトランプの勝利さえも望むようになり、ハリスを失敗させる動機がある。これはある程度真実だ。

 2016年に CBS のレス・ムーンベスは、トランプの勝利は「アメリカには良くないかもしれないが、CBS には非常に良いことだ」と述べていた。しかし、これは一部嘘だ。いわゆる「従来メディア」も段々一枚岩ではなくなっている。イデオロギーの差は、これまで以上に大きく、収益を上げているメディアもあれば、そうでないのもある。

 政治家にとり「メディア」の魅力は、それはどうにでも使えることだ。それは、聞き手が最も嫌がるものを想起させる。しかし、自分が好ましいとする部分は例外だ。

 ハリスのメディア露出が少ないもう一つの理由は、「壊れていないなら修理するな」ということだ。メディア露出がなくても彼女の選挙運動は順調に進んでいるため、リスクを取る必要はない。

 彼女の活気ある集会や、時折やっているティック・トックの交流の方が簡単だ。ソーシャルメディアのインフルエンサー達は、厄介な質問はしない。

 かかる戦術の問題は、大半の米国民がいまだハリスをよく知らないことにある。選挙は接戦で推移しており、無党派層の支持を得る必要がある。


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