自信のあるジャーナリストなら、誰もがハリスをインタビューしようとするだろう。彼らの仕事は厳しく質問することだ。民主党員が 11 月に民主主義がかかっていると言うのは正しいが、そうであれば、次期政権に対する尋問の権利も受け入れるべきだ。
ハリス、あるいは大統領を目指す誰にとっても、厳しいインタビュアーと対峙することは、外国の独裁者との交渉と比べれば簡単なことだ。特に彼女がウォルズを CNN のインタビューに同行させるような場合には尚更だ。どんなにインタビュアーが不公平であっても、トランプはそれ以上に手ごわいだろう。
ハリスの課題は、過去5週間の勢いを更に 10 週間持続させることだ。態度未決定の有権者達は静観したくない。彼らは、ハリスにオープンな姿勢を見せている。
ハリス自身が言うように、彼女はココナッツの木から落ちてきたようには思われたくない。彼女が多くの討論やインタビューに応じるほど、彼女にとってはプラスになるだろう。
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変わってきた米国のメディアと政治
なかなか高邁で、正直なメディア論である。ルースは、①ハリスがメディアに消極的な理由は 2 つある、②第一は、メディアは密かに大統領選の接戦を期待していると多くの民主党員が信じていること、収益の悪いメディアはトランプの勝利さえ望んでいる、③第二は、今ハリスの選挙戦は党大会を経てうまく行っているので、「壊れていないなら修理するな」という「戦術論」、④しかしいまだ知名度が低いハリスにとり、浮動層、未決定層を掴むためには、「彼女が多くの討論やインタビューに応じるほど、彼女にとってはプラスになるだろう」と言う。
ハリスはそれ程メディアを嫌っているのだろうか。民主党全体がそうだとルースは示唆するが、メディアは、もともと厄介なものでもある。
しかし、政治に当たっては、避けて通れない。ハリスは、慎重ながらも対応していく必要がある。
他方で、今の時点で拙速な対応は禁物だろう。戦術論も大事にすべきだ。
米国社会の情報化の中で、無責任なメディアも増えている。収益を高めるために政治の劇場化を求める傾向があることをルースは認めている。
メディアが、益々「せっかち」になり、大局を失い、短期化し、ゲーム化しているのだろう。そして、トランプはそれを利用する。