バーンド・デブスマン・ジュニア、BBCニュース(米ワシントン)
実業家のイーロン・マスク氏は、アメリカのドナルド・トランプ前大統領に対する暗殺未遂とみられる事件が起きた15日、ジョー・バイデン大統領とカマラ・ハリス副大統領に対しては暗殺を「誰も試そうとさえしない」とX(旧ツイッター)に投稿した。アメリカ政府がこの投稿を非難したほか、大統領ら要人の警護に当たるシークレットサービスも「認識している」とするなど、物議を醸している。
マスク氏はその後、投稿を削除し、冗談のつもりだったと説明した。
トランプ前大統領をめぐっては、所有するフロリダ州のゴルフ場で暗殺未遂とみられる事件が発生した。その何時間か後に、マスク氏による投稿があった。
Xなどのテクノロジー企業を所有する富豪のマスク氏は、トランプ前大統領と関係が近い。前大統領は、再選されればマスク氏を「政府効率化委員会」の運営に参加させると公言している。
マスク氏の今回の投稿に対しては、多くのXユーザーが、眉をひそめる絵文字をつけて批判。大統領と副大統領への攻撃を扇動するものだと主張する人もいる。
ホワイトハウスは声明で、「この発言は無責任だ」と投稿を非難。「暴力はいかなる場合も非難されるべきで、決して奨励されてはならず、冗談にされるべきでもない」とした。また、「政治的なものだろうと、どのようなものだろうと、暴力は私たちの国では認められない」と付け加えた。
シークレットサービスはBBCの取材に対し、この投稿を「認識している」と回答。「私たちは慣例として、警護に関連する情報が絡んだ問題にはコメントしない」、「しかし、シークレットサービスとして警護対象者に関わるすべての脅威について調べているとは言える」とした。
マスク氏は投稿を削除後、「あるグループに何かを言い、笑いを誘ったからといって、それがXへの投稿として愉快なものになるとは限らない。それが教訓の一つだ」とXに書いた。
さらに、「ジョークは、人々が文脈を知らず、平易な文章で書かれた場合、そんなに笑えないことがわかった」と投稿した。
マスク氏は、トランプ前大統領に近い支持者とみられている。前大統領に対する暗殺未遂事件が7月13日にペンシルヴェニア州バトラーで起きた後は、前大統領への支持を正式に表明した。
以来、マスク氏はバイデン大統領とハリス副大統領を批判し、トランプ前大統領を支持するメッセージをたびたびXに投稿したり、そうした趣旨のメッセージをリポスト(再投稿)したりしている。
(英語記事 Secret Service 'aware' of Elon Musk post about Harris, Biden)