また「政法隊伍の主流はすばらしい」としているのは、一見政法関係者を評価しているように思えるが、むしろ「主流」でない一部のものがすばらしくないことを示唆していることが重要である。
さらに政法工作が「剣を見せて断固闘争」しなければならないほど深刻な「悪しき風潮」に直面していることを指摘している。
状況を鑑みれば、こうした「党」ではないもの、「主流」ではないもの、そして「悪しき風潮」は、これまで長きにわたり政法工作を牛耳ってきた周を指していると考えるのが自然であろう。つまり「党の指導」を強調し、政法工作を「主流」の手に取り戻し、「断固闘争」するよう指示したのは、まさに周による中央政法支配の一掃を意味している。
そして、この会議の終了を受けて『人民日報』1月9日付に発表された評論員による「党の政法工作に対する指導を揺らぐことなく堅持する」と題する論説は「公安部門の幹部と警察官は重大な政治的試練に直面し、困難や危険を進んで引き受け、絶対に『二股』をかけてはならない」としている。この「二股」は「党」と「周」を指すものと見られる。つまり、公安部門の幹部と警察官は党に忠誠を誓うよう指示しているのである。
そして異例なのはこれだけではない。『人民日報』には、1月10日から17日までのあいだに評論員による「習近平同志の中央政法工作会議での重要講話精神を学習、貫徹」と題する論説が4回、17日から20日まで「中央政法工作会議精神解読」と題する解説記事が4回連載されている。通常会議後のこうした連載は、決定事項の周知徹底の意味を持っている。つまり何かがすでに決定したことを示唆している。
以上、「中央政法工作会議」という党中央主催の異例の会議が開かれたこと、会議後に2つの連載論説を掲載していることは、習が「周」による中央政法委員会の支配の一掃にすでに成功したことを意味しており、それを高らかに示しているように思われる。
習近平との思想の一致を求める
中央規律検査委委員会全体会議
もう1つの会議は1月13~15日の第18期中規委第3回全体会議である。中規委は共産党員の腐敗など規律違反を監督、処分決定を行う機関である。全体会議は毎年1月に開かれ、前年の回顧と当年の目標指示が議題となる。習は重要講話で次のように発言している。