2024年11月22日(金)

中国メディアは何を報じているか

2014年1月22日

「われわれは中央政治局から行い、上が下を向上させることを堅持し、模範作用を発揮した。突出した問題の解決を切り口にし、正しいものを助け邪悪なものを除去することを堅持し、明確な進展を勝ち取った。『虎(大物)』も『ハエ(小物)』も一緒に取り締まることを堅持し、腐敗分子に対する高圧的な態勢を形成した」
「全党同志は反腐敗闘争の長期性、複雑性、非常な困難さを深く認識し、劇薬で病を取り去り厳しい法律で混乱を治める決心、骨を削って毒を治療し勇猛果敢に腕を断つ勇気で、党風クリーン政治建設と反腐敗闘争を断固徹底的に進めなければならない」
「党の各級組織は党員、幹部が政治規律を守ることに対する教育を強化し、党の各級規律検査機関は党の政治規律を守ることを第一に置き、全党の思想上、政治上、行動上党中央との高度な一致を確保しなければならない」

 「邪悪なもの」「虎」はまさに周、そして周人脈を指していると言え、「高圧的な態勢」で腐敗高官を取り締まったことを強調した。その上で「劇薬」「骨を削って毒を治療し勇猛果敢に腕を断つ勇気」で今後も取り締まる決意を示したことは、同時に周や周人脈の取り締まりがいかに困難なプロセスだったかということも示唆している。そして、「党中央との高度な一致」の確保はまさに習との一致を指示している。

周問題は収束の方向へ

 こうした2つの会議の報道ぶりを見る限り、これまでの党中央の手続き方法に照らせば、薄と周の問題は収束の方向に向かっている。つまり周に対する拘束、或いは取り調べ、処分を当局が発表することはないのではないかと思われる。

 やはりそこには、中央政治局常務委員というハイレベルの地位に就いた者を処分することには強い抵抗があるのではないか。これは党中央内の暗黙の了解であり、それを破ることは中国共産党による一党支配の枠組みを破壊することになる。

 当然、習にとって強いリーダーシップを発揮することが自らの権力基盤を固める上で有効である。しかし、ソ連共産党崩壊の教訓を重視する習にとっての至上命題は一党支配を守ることにある。習がそのために周の処分を公表するというリスクを冒すだろうか。ここでの見方は分かれるだろう。薄と周の「野心」は、北京では「クーデター」とも言われる事態で、私は単なる権力闘争を超えた一党支配を破壊するものだったと見ている。それほどの大事だった故に、周の処分の公表に踏み切る可能性もまだ否定できない。

 しかし、その「野心」を表沙汰にはできない以上、汚職を理由にした周の処分は習にとってリスクが大きすぎる。なぜなら一昨年(2012年)『ニューヨークタイムズ』紙にファミリー利権を暴露された温家宝にまで影響が及ぶ可能性があるからである。こうした一党支配に不安定をもたらす連鎖を習が選択するとは考えられない。それ故に、李東生公安部副部長を始め現役高官の周人脈を完膚無きまで拘束して、周自身に十分なダメージを与えているのではないだろうか。

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