スペインの集中豪雨による洪水は、10月31日時点で死者が少なくとも158人に上り、同国で過去最悪レベルの被害となっている。被災地では生存者発見が時間との闘いになっている。
当局は今回の豪雨と洪水を「前例がない」としている。スペイン気象庁(AEMET)によると、バレンシア市に近い町チバでは、8時間のうちに1年分に相当する量の雨が降ったという。
洪水の原因はさまざまだが、気候変動による温暖化が異常降雨の可能性を高めている。
気象研究者らは、今回の豪雨が「ゴタ・フリア」によって引き起こされた可能性が高いとしている。「ゴタ・フリア」とは、スペインで秋と冬に発生する自然気象現象で、地中海の暖かい海水の上に冷たい空気が流れ込むことで起きる。
しかし、地球の気温が上昇したため、雲がより多くの雨を運ぶようになっていたと、科学者たちはBBCに説明した。
世界の気温は、世界経済の工業発達が本格化する以前(1850~1900年)より約1.1度上昇している。世界中の国々が温室効果ガスの排出量を大幅に減らさない限り、気温は上昇し続ける。
温暖化の影響を研究する国際的な科学者グループを率いる、英インペリアル・コレッジ・ロンドンのフリーデリケ・オットー博士は、「今回のような爆発的な豪雨は、まぎれもなく、気候変動によって激化したものだ」と話した。
BBCのマット・マグラス環境担当編集委員が解説する。