米ペンシルヴェニア州の裁判所は1日、世界一の富豪のイーロン・マスク氏が行っている、米大統領選挙の激戦州で毎日1人の登録有権者に100万ドル(約1億5000万円)を贈る活動について、当面は継続可能との判断を示した。
共和党候補のドナルド・トランプ前大統領を支持しているマスク氏は、自身の政治活動委員会の「アメリカPAC」を通じ、ペンシルヴェニア、ジョージア、ネヴァダ、アリゾナ、ミシガン、ウィスコンシン、ノースカロライナの激戦7州で、憲法支持の請願書に署名した登録済みの有権者に、11月5日の投票日まで毎日1人に100万ドルを贈っている。
これに対し、ペンシルヴェニア州の検察当局は先月28日、マスク氏が「違法な宝くじを運営している」として、活動の中止を求める民事訴訟を起こした。マスク氏は違法性を否定している。
フィラデルフィア地区検察局のローレンス・クラズナー地方検事は訴状で、マスク氏を「直ちに止めなくてはならない。11月5日の大統領選挙が迫っている」と述べていた。
1日の審理でペンシルヴェニア州裁判所のアンジェロ・フォグリエッタ判事は、連邦裁判所がこの件を引き継ぐかを決めるまで、民事裁判を一時停止するとの判断を下した。
連邦法では、有権者登録をさせるために金銭を支払うことは違法とされる。しかし、今回の宝くじ方式の金銭提供が違法かどうかは、まだはっきりしない。
連邦裁判所がこの件に関与しない場合は、州裁判所が審理を行うことになる。
マスク氏は自らが所有するソーシャルメディアX(旧ツイッター)で、この判決は「アメリカの司法の勝利だ」と述べた。
マスク氏はこの日、フィラデルフィアの裁判所には出廷しなかった。
5日に行われる大統領選前に、この件が解決される可能性は低い。
クラズナー地方検事と連携しているジョン・サマーズ弁護士は、「我々はこの件を連邦裁判所に持ち込み、そこで問題に対処し、この件を州裁判所に差し戻すよう求めるつもりだ」と語った。
「結局のところ、これは州法の問題を含む案件だ」と、サマーズ氏は付け加えた。
アメリカPACに対しては、司法省が先日、連邦選挙法違法の疑いがあるとする警告文書を送っている。
(英語記事 Musk can continue with election cash giveaways for now, judge rules)