2024年4月26日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年2月12日

 2013年6月、ミャンマーのミン・アウン・フライン国軍最高司令官はキロ級潜水艦2隻の購入につきロシア側と協議に入った。同月、20名の将兵がパキスタンの潜水艦訓練センターで基礎的な訓練を受けたと伝えられている。ミャンマーが2016年までに潜水艦能力の保有を目指しているとの報道を裏付けるものである。

 2013年10月、タイ海軍は、今後10年の調達計画の中に3隻の潜水艦購入を盛り込んだ。タイは、潜水艦訓練センター・基地の建設を始めている。基地は2014年3月に完成する予定である。

 2013年、タイは潜水艦訓練の為にドイツに18名の将官を32週間、韓国に10名の将官を8週間送り込んでいる。

 以上のように、今後5年から10年の間に、東南アジアの水域、特に、南シナ海において、通常型潜水艦の配備が顕著に増加するものと見られる。南シナ海は更に混雑することになる。

 潜水艦の獲得により、地域諸国の戦闘能力は、空、陸、海、水面下の4次元になる。潜水艦は、偵察、情報収集、機雷敷設、対艦戦、長距離攻撃などの能力を持つ。

 アセアン諸国の海軍司令官の間で、このような事態の進展の持つ意味合いにつき、殆ど議論が行われていないように見える。潜水艦が災難に遭遇した場合の救援手段すら殆どの国が保有していない。

 ただ、シンガポールとマレーシアだけは例外である。

 シンガポールは地域諸国の潜水艦の事故に際する救援協力で先頭に立っており、豪州、インドネシア、ベトナムと協定を結んでいる、と述べています。

* * *

 東南アジア諸国の潜水艦能力増強の現状が具体的に記述されており、有益な論文です。筆者が指摘するように、アセアン諸国間で潜水艦の運用について協力関係を深める時期が来ていると思われます。

 なお、各国の潜水艦配備の背景に中国の海洋進出があることは疑いの無いところでしょう。日本がこれらアセアン諸国との連携を強化してきたことが正しいことを裏付けるものと言えましょう。

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