米ニューヨーク州の検察は19日、ドナルド・トランプ次期大統領による有罪評決を覆そうとする動きに抵抗すると誓った一方、量刑言い渡しについては次期大統領の任期終了まで待つ意向を示した。
トランプ次期大統領は5月、ニューヨーク州での裁判で、2016年大統領選を前に不倫の口止め料支払いについて事業記録を改ざんしたとされ、重罪34件について有罪評決を言い渡された。量刑の言い渡しは大統領選後まで延期され、今月26日に予定されている。
一方、次期大統領をめぐる別の裁判で、連邦最高裁は7月、大統領は「公的な行為」に関して刑事訴追を免れる特権を有するとの判断を示した。次期大統領の弁護団は、この免責特権と、大統領任期が迫っていることを理由に、ニューヨーク州の裁判での有罪評決を覆すよう判事に求めている。
こうした動きをふまえ、マンハッタン地検はこの日、裁判を担当してきたホアン・マーシャン判事に対し、評決を無効とする以外の選択肢を検討するよう求めた。その一つとして、次期大統領がホワイトハウスを去る2029年まで量刑言い渡しを延期することを提示した。
同時に、検察と次期大統領側の双方が事件を検討して新たな申し立てを行うための期限を12月9日に設定するよう求めた。
次期大統領側は「勝利」と
検察はこの日、ニューヨーク州での裁判について、事件の中心的な問題は大統領の公務とは関係ないと主張。公判も評決も、大統領の免責特権を認めた連邦最高裁の判断が示される前にあったと強調した。
一方で、マーシャン判事が「憲法上の利益とのバランスをとる必要性」があることも認めた。そのうえで、「被告の次期大統領任期終了後まで、残りのすべての刑事手続きを延期する」ことを含む、「評決無効以外の選択肢」を検討するよう判事に求めた。
ニューヨーク州の裁判は、トランプ次期大統領が刑事訴追された4事件のうちで唯一、公判が開かれ、有罪評決に至った。
マーシャン判事がどのような判断を示すかは不透明だ。しかし、次期大統領の広報担当で、ホワイトハウスの報道部長に抜擢されたスティーヴン・チャン氏は、「完全かつ決定的な勝利」を宣言した。
マンハッタン地検の検事を務めたダイアナ・フローレンス氏は、検察の今回の動きで、今月26日に予定どおりに量刑が言い渡される可能性は、「0.5%以下だと思う」と話した。
判事は次期大統領の量刑をめぐって、罰金や保護観察から禁錮4年の実刑判決まで、さまざまな選択肢がある。ただ、いかなる法的処罰も次期大統領は避けられるだろうと、法律の専門家らは指摘している。
(英語記事 Prosecutors back delaying Trump sentence until he leaves White House