2024年12月22日(日)

Wedge REPORT

2014年2月26日

 固定価格買取制度(FIT)が実施され約1年半が経過した。太陽光発電(PV)の認定量は累計2200万kW(2013年10月末時点)に上り、関連産業はかつてない活況に沸く。短期間でこれほど効果のある経済政策はなかったと賛辞の声もあがる。

 しかし、PVバブルはFITという政策需要で喚起されており、その負担は賦課金として電気料金に加算される。この負担を原資として、日本のPVメーカーが国際競争力を獲得できるかと言えばほとんど役に立たない。

 改めてFITの目的を問い直すべきだ。新電源育成、地域振興、産業政策、温暖化対策等々、異なる目的が都合よく織り交ぜられ、世界と比較して高すぎる買取価格が放置されている。国民の負担能力には限度があるのだから、できるだけ少ない費用負担で、より多くの再エネ供給を得る、効率性の観点が最も重要である。

費用負担 甘い経産省推計

 日本ではFITに3つの誤解がある。第1の誤解は「コーヒー1杯程度の負担で済む」というものである。これは、20年段階で年間8100億円(世帯平均で月間約280円)という、経済産業省の賦課金見通し(図1)が基になっている。これは昨年11月、FIT実施後に初めて示された推計で、多くの人は「20年度段階でも13年度比で3倍以内に収まる」と読み取った。

 しかし、経産省推計は非現実的で、8100億円は過小評価となる可能性が高い。推計では13年~20年度まで毎年同量(300万kW)のPVが段階的に導入されることを想定しているが、これは実態に合わない。13年度4月~10月末(7カ月間)の運開済みPV設備は既に約400万kW。これは、年間700万kW弱に相当する。

 また、同推計は各種機関による推計と比較しても小さい(図1)。例えばブルームバーグ・ニューエナジー・ファイナンス(BNEF)は14~15年にPV導入は年間1000万kW以上、15年に賦課金が1兆円を超過すると推計している。


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