Wedge REPORT

2014年2月26日

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朝野賢司 (あさの・けんじ)

一橋大学特任講師

1974年福岡県生まれ。京都大学大学院にて地球環境学博士号を取得。産業技術総合研究所バイオマス研究センター特別研究員を経て、2007年より電力中央研究所社会経済研究所主任研究員。2015年4月より現職(兼任)。17年より社会経済研究所上席研究員と現職を兼任。著書に『再生可能エネルギー政策論 買収制度の落とし穴』(エネルギーフォーラム社刊)など。

 このように書くと、「工業製品の海外生産は常識で、PVも同じだ」という反論もあるだろう。しかし、FITが産業政策であり、その費用負担が長期的に回収されるためには、日本企業が付加価値を生み、それを内部化することで、経済成長を促さなければならない。だが、PVは、製造技術の汎用化によって中国勢が圧倒的な競争力を持つ。FITによる国内市場拡大で、短期的に様々な業者が潤っても、長期的には産業を壊しかねない。

頻繁改定と上限設定を

 第3の誤解は、「FITは買取価格による普及政策で、導入量に制限はかけない」というものだ。PVバブルに直面した、欧州FIT先行国が苦心してきたのは、買取価格の調整を通じた、導入量(裏返しとしての費用負担)の調整である。具体的には、(1)買取価格の大幅な切り下げ、(2)買取価格の頻繁な改定、(3)上限の設定を実施している(表1)。

 特に重要なのが、(3)の上限である。ドイツを除く4カ国で、年間導入量、あるいは費用負担の上限が設定されている。また、導入量と費用負担のバランスを判断する基準として、導入目標を用いていることも注目に値する。欧州FIT先行国は、PVの「導入されすぎ」、「費用負担の拡大」に苦心してきた。先行国の前轍を避ける制度設計が求められている。

  


WEDGE3月号 第2特集 太陽光バブル拡大 蓄積される「歪み」
◎バブル最前線九州 メガソーラー乱開発で「エコ」と矛盾も
ー「空枠取り」「小分け」「土地転がし」次々現れる小銭稼ぎ
ー国産パネル一皮剥けば海外製 銀行もメーカーもガラパゴス
◎再エネ大量導入が「地産地消」ではなくなる理由
◎甘い想定、産業政策のウソ 買取価格を大胆に切り下げよ
朝野賢司(電力中央研究所主任研究員)×WEDGE編集部

◆WEDGE2014年3月号より










  

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