Wedge REPORT

2014年3月7日

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長期契約者軽視の高額キャッシュバック

 上記のように厳しい経営環境にさらされた携帯ショップだが、昨今の “スマホバブル”によって、これまではしばしの延命が図られた状態だった。

 しかしMM総研が14年1月に発表した13年の国内携帯電話端末の出荷概況によると、端末の総出荷台数は前年比10.2%減の3929万台、スマホ出荷台数も同3.7%減の2928万台と、早くも”スマホバブル”に陰りが見え始めている。スマホですら、もはや普通には売れなくなってきたのだ。

 にもかかわらず未だ携帯キャリアが重視するKPI(重要業績評価指標)は契約数と、成長期の指標のまま。普通にしていては売れないスマホに対し、高額キャッシュバックを“カンフル剤”として使って市場を喚起しているのが現状だ。

 「MNPユーザー限定で5万円キャッシュバック」「家族3人で最大21万円キャッシュバック」というキャッシュバックの水準は、どう考えても行き過ぎだろう。

 ネットの裏を覗けば、高額キャッシュバックを逆手に取り、複数の端末をMNPすることで数十万円の差額を儲けるといった話がいくつも出てくる。端末費用が0円となる「一括0円」の端末を狙い、キャッシュバックを5万円確保。その端末を開封せずに、そのまま秋葉原などの中古ショップへ転売し、さらに数万円の利益を確保する「携帯乞食」と呼ばれるようなユーザーも珍しくない。

 特に最近では「不人気機種」であり「一括0円」で投げ売りされていることが多い「iPhone 5c」が、開封されないまま、中古ショップへ転売されるケースが多い。中古ショップに並ぶiPhone 5cの多くがこのような経緯のものだとすると、高額キャッシュバックがもたらす罪深さを感じる。

 携帯キャリアは、他社からユーザーを奪い、最も効率よく契約数を増やせるMNPを重視している。そのため、MNPユーザーに限定したキャッシュバックは止まらない。

 しかし長期契約者にしてみれば、優良顧客である自分たちは特典は得られず、回遊魚のようにキャリア間を動き回る短期契約者ばかりが高額のキャッシュバックを得られる現在の状況は納得がいかないだろう。これも“契約数”という数ばかりを追う評価軸がもたらした、業界全体の歪みの一つだ。

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