9月20日から、NTTドコモでもアップル社のiPhoneの販売が始まりました。iPhoneは世界的に人気のスマートフォンで、日本においてもスマートフォン市場を牽引してきました。当初は、ソフトバンクのみが扱っており、同社は携帯電話市場のシェアを大きく増やしました。2011年10月からKDDIも取扱を始め、今回ドコモの参入で、主要3キャリアが揃って販売を始めたことになります。
(写真:アフロ )
MNP(ナンバーポータビリティ) 制度によって、通信会社が変わってもユーザーは同じ電話番号を使えるようになったので、携帯電話会社を変える障壁が下がりました。ドコモは、シェアを落とし続けていて、その主要な理由はiPhoneを扱っていないことであると言われていました。
さて、今回のコラムでは、ドコモのiPhone参入のコンテンツビジネスへの影響について分析しながら、コンテンツの生態系について考えてみましょう。
生態系とは、エコシステムの訳語で、生物学の用語です。理科の授業で食物連鎖について習ったのを思い出しますね。自然界では、個々の生物は本能で行動しているようでも、俯瞰して見ると、その行為は繋がっていて、全体として継続可能(sustainable)な仕組みになっています。コンテンツビジネスにおいては、ユーザーの作品購入が新たな作品制作や、アーティスト育成に繋がる継続可能な仕組みになっているかどうかがとても大切なので、この言葉が使われるようになりました。
アップル社の垂直統合型システムの功績と変容
2001年からmp3ポータブルプレイヤーiPodの販売を始めたアップル社は、2003年からは音楽配信サービスiTunes Music Storeをスタートさせました。iTunes Music Storeの成長が、従来のCDを中心とした音楽流通の仕組みを大きく変えました。ユーザーは、iTunes Storeで楽曲をPCでダウンロードして、iPodに簡単に同期することができ、PCでもiPodでも、音楽を自由に楽しむことができるようなったのです。