2024年12月4日(水)

ビジネスパーソンのためのエンタメ業界入門

2013年9月13日

 はじめまして。音楽プロデューサーの山口哲一です。本コラムでは、外から見るとわかりにくい、エンターテインメント業界(カタカナで「ギョーカイ」って感じですね)を、ビジネスパーソンに役立つ形でひも解きます。

 日本のエンタメ業界は、テレビ、出版、映画、アニメ、音楽それぞれ、タコツボ化しながら、複雑な仕組みを熟成、進化させてきました。デジタル化の進展で、従来は有効に機能していたシステムが足かせになるケースが増えていています。この構図は日本的な産業構造の典型的な例ではありませんか?

 従来の仕組みを有効に活かしながら、デジタル技術やソーシャルメディアの発展とどう向き合っていくのかを考えることは、日本経済の未来予測に示唆することにつながるはずだというのが、本コラムの趣旨です。

 日本国内だけでなく、海外コンテンツビジネスの最新情報の紹介や、影響に関する論考なども行っていくつもりです。

「ガラパゴス化」が進行する日本の音楽市場

日本、世界の音楽市場の売上推移
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 さて、今回は私のホームグラウンドである音楽業界の現状をご説明したいと思います。2012年、日本の音楽パッケージ市場は、前年比10%増となりました。そして音楽配信市場は24%の減となりました。これらは共に世界の動きとは逆行しています。

 世界各国でCD市場は減り続けています。日本がCD売上で米国を抜いて世界一になったのは2009年のことですが、他国のパッケージ売上は下がり続け、「日本のパッケージ大国」ぶりに磨きが掛かっています。

 一方、世界では音楽市場を配信事業が牽引し始めています。一方、日本の音楽配信市場も2008年には市場規模が2000億円超まで伸張しましたが、その時の9割は、フィーチャーフォン向けの「着うた」サービスでした。アップル社のiTunes Storeは、インターネット配信とカテゴライズされ、1割程度のシェアでした。ガラケーからスマートフォンへの移行で、「着うた」市場は崩壊しています。スマートフォンを含むインターネット配信は伸びていますが、「着うた」市場の下落分は補えず、トータルで見た日本の音楽配信市場は減少しています。

 まさに、日本の音楽市場は「ガラパゴス化」している状態です。このガラパゴス化の原因は何でしょうか?


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