その値下げは販売数量増加につながるか?
ここで、前回までに解説した「値下げ戦略成功条件」の2つを確認しておこう。
成功条件その1の「変動費が少ない」とは、「固定費が多い」と言い換えることができる。
高速道路は典型的な固定費体質のサービスだ。車一台が通ったとき、その通行に比例する変動費は掛からないが、そのかわり建設費や維持費、人件費といった固定費が大きい。
ということは高速道路は条件その1をクリア。問題はそのあと。成功条件その2だ。
「値下げによって販売数量(Q)が大幅に増加すること」
・・・・・高速道路はこれがクリアできないわけだ。よってビジネスとして見た場合、大幅増益はそれほど期待できない。だからこそ高速道路単独の採算ではなく、「旅行者の増加による観光地の売上増加」といった大きな視点からの景気浮揚策として論じられることが多くなる。
さて、この高速道路のように、条件1はクリアできても条件2がクリアできないという固定費ビジネスは意外に多い。それらに共通するのは、高速道路と同じく「キャパシティ(収容力)に上限がある」という点だ。