2024年6月18日(火)

中国メディアは何を報じているか

2014年4月21日

 中国政府は5月に『中国海洋発展報告2013』を発表し、海洋安全保障が中国の国家安全保障の重点であることを示した。これに呼応するように艦艇による演習は増加したが、単なる領海主権の防衛のみならず、新装備の試験、海外利益擁護や戦略的チャンネル確保という目的もあった。

 3月には中国海軍のアデン湾への艦隊派遣第14陣がパキスタン海軍による「平和13」共同演習に参加した。7月5日から11日には中露両国が18隻の艦艇と航空機8機、数千人の兵士をピョートル大帝湾に派遣し、「海上聯合2013」を実施した。

 2013年6月から翌年元旦にかけ中国初の空母「遼寧」は3回試験航海を行った。8月中旬の試験航海期間には離着陸訓練を100回以上行った。11月には4隻の護衛艦、駆逐艦の護衛の下、「遼寧」は山東省青島市軍港から出発し、南シナ海で航海を行った。

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【解説】

 中国軍の演習回数がここまで網羅的データとして示されるのは稀有だ。それゆえに『世界軍事誌』が公開情報を丹念に拾いデータを示した意義は大きい。もちろん結論は斬新ではなく、軍で陸軍偏重を是正し海軍、空軍を拡充し、より軽量化、機動化が目指されていることはこれまで指摘されてきた。ただ今回、演習状況をデータで数値的に実証したのだ。

 習近平政権は最近、軍の機構改革、制度改編に着手したが、そうした改編には兵員削減、組織の統廃合を含む。そう考えるとここで紹介した演習の傾向は機構改革の方向性も示唆するものだ。すなわち空軍、海軍の拡充や陸軍のコンパクト化と機動化、そして各軍種を統合的に運用できるような混成軍に改編し、組織体制に反映させることだ。

 「戦って勝つ」ことに主眼が置かれる以上、地方に広く分散する陸軍中心の軍の組織体制は整理縮小され、軍人や退役軍人の福利厚生や当地の学生や組織の軍事教練を担う予備的な軍事機関は廃止されるか、縮小されるだろう。そして戦闘力を持った作戦による区割りとしての戦区概念がより重視されるようになるだろう。

 また機動部隊である集団軍にも変化があるかもしれない。地方では現在、ロジ、兵站を担当する後勤部門と装備担当部門の統合が進められているといわれるが、より作戦重視の形へと改編が進められるだろう。今後、日本の安全保障を考えるうえで中国では軍が政治に与える影響があまりに大きいことからも習主席による発言や動向はもちろんだが、海軍に限らず陸軍の演習を含めた軍の活動全般にも注目し、軍と政治の関係を分析し、軍機構改革の意味を総合的に鳥瞰する必要があろう。


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